KADOKAWA Technology Review
×
「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集中!
変異種のパンデミック、
対策に残された時間は少ない
Scott Olson/Getty Images
生物工学/医療 無料会員限定
We may have only weeks to act before a variant coronavirus dominates the US

変異種のパンデミック、
対策に残された時間は少ない

英国で見つかった感染力が高いと考えられている新型コロナウイルスの変異種は、日本でも感染例が報告された。変異種は英国だけではなく、欧州にも瞬く間に広がり、南アフリカやブラジルでも別の変異種が確認されている。感染拡大を防ぐために残された時間は少ない。 by Antonio Regalado2021.01.21

従来よりも感染力が強いと考えられている新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異種の拡大を抑えるため、米国に残された時間は少なくなっている。

英国で最初に発見された変異株に一部の専門家が推測するような感染力があれば、3月には米国における新型コロナウイルスの感染の中心となり、死者数も記録的な数になる可能性がある、と研究で示されている。そして、そのタイミングはワクチン接種の時期と重なる。

英国の科学者たちは、新しく確認された変異株の感染力が50~74%強い(つまり、平均的な症例において、さらに多くの感染者数が増える)と懸念している。そして、新型コロナウイルスの感染者数が急増している英国において、パンデミックを加速させる恐れがあると危惧している。

同じ変異種が見つかっている国は米国を含めて40カ国以上あり、米国では12月29日にコロラド州で初めて変異種が報告された。米国疾病予防管理センター(CDC)によると、1月11日の時点で変異種の感染は10の州で72件が確認されている。カリフォルニア州が32件、フロリダ州は22件で、ジョージア州・インディアナ州・ペンシルベニア州ではそれぞれ1件だ。

米国では毎日20万人以上が感染し、100万人当たりの感染率が11月以降、変異種を考慮しなくても3倍になっていることを鑑みれば、72件というのはわずかな件数かもしれない。

しかし、この変異種は確認されているデータよりも広がっている可能性がある。米国でこれまで見つかった変異種の多くの感染例は、英国への渡航歴がない。つまり、すでに目に見えない形で地域コミュニティに広がっており、感染速度が急速に上がる可能性がある。

CDCのトム・フリーデン元局長は「この変異種が米国で広がれば、最悪のシナリオに近づくでしょう」とツイッターで述べている。そして、政治的混乱や過度の負担を強いられている医療機関、そして容赦のない新種のウイルスによって「最悪の事態」が生み出される可能性があると言う。

https://twitter.com/DrTomFrieden/status/1348761507480416257

変異種の出現によって、米国はすでに英国からの渡航者に対して飛行機搭乗前にウイルス検査の陰性結果を提出するよう求めている。科学界のリーダーの中には、米国は今こそ、調整された全国的なロックダウン期間を検討すべきだとの声もある。米国科学者連盟(FAS)のアリ・ノウリ会長は「感染曲線を平坦にするため、別のロックダウンのプラス面とマイナス面を検討しなければならないと思います」と語る。「症例数と死者数が記録的な数になっていることに加え、強い感染力を持っている可能性がある変異種と対峙しているかもしれない状況にあります。すでに医療機関が限界に達している地域もあり、さらに状況が悪化するでしょう。本当に深刻な状況です」。

感染力の強さ

この変異ウイルス「B117」は、2020年12月に英国の科学者が発見した。多くの研究者は、B117は人から人へより感染しやすいと考えている。B117の感染力が本当に強いのか、それとも、年末休暇の集まりなどの欧州での「スーパースプレッダー・イベント」が主な原因なのか、科学的にはまだ不確実だ。しかし、米国などの多くの国でも英国と同じ傾向が見られれば、B117の感染力の強さは疑いの余地がなくなってくるだろう。

そのようなデータは、すでにいくつかある。例えば、デ …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2024 「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集のお知らせ
  2. Interview with Prof. Masayuki Ohzeki: The Future of Quantum Computer Commercialization and the Qualities of Innovators 量子技術を最速で社会へ、大関真之教授が考えるイノベーターの条件
  3. AI companies are finally being forced to cough up for training data 「訓練データはタダではない」音楽業界が問う生成AIの根本的問題
  4. AI can make you more creative—but it has limits 生成AIは人間の創造性を高めるか? 新研究で限界が明らかに
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る