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アプリだけでは解決できない
ワクチン配布の厳しい現実
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Chicago thinks Zocdoc can help solve its vaccine chaos

アプリだけでは解決できない
ワクチン配布の厳しい現実

新型コロナワクチンの接種が始まった米国ではワクチン配布をめぐって混乱が続いている。予約システムの改善に乗り出す自治体もある一方、接種人数ばかりに気を取られていると、最も弱い立場にある人たちは取り残されてしまうかもしれない。 by Mia Sato2021.02.17

2月の第1週、冬の嵐がシカゴの街を吹き抜け、雪が積もり、気温は氷点下にまで下がった。ノースウェスタン記念病院の内分泌科医であるイヴ・ブルームガーデンのもとに、その週に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種を受ける予定であった患者から、心配した様子で電話がかかってきた。その女性は、悪天候に屈することなく、パンデミックが始まって以来初めて運転して出かける準備をしているところだった。これがワクチン接種を受ける唯一のチャンスになると懸念していたからだ。

「取り残されてしまうことに人々が大きな不満と恐怖を感じていることを目の当たりにしてます」とブルームガーデン医師は言う。

米国の多くの地域と同様にシカゴでも、新型コロナウイルスのワクチンの配布が、人々が期待していたより遅れている。これまでのところ、シカゴの住民270万人のうち、ワクチンを接種したのは6%の人々だけだ。空き枠が出ることを期待して複数のWebサイトを確認するために遅くまで起きていなければならないという状況に、人々からは「ハンガー・ゲーム(日本版注:米国のディストピア小説)のようだ」との声が聞かれた。さらに、申し込み用の公式Webサイトは洗練されたものではなく、使いづらいという始末だ。

2月上旬、シカゴ公衆衛生局はこれらの技術的問題を改善するための計画を発表した。オンラインでヘルスケア関連のスケジューリングをする人気企業、ゾクドック(Zocdoc)との提携だ。ゾクドックは、複数のワクチン接種の手続きをまとめる統一ポータルとなり、単一の、よりユーザーフレンドリーなツールで申し込みをすることが可能となる。一度に複数の異なるシステムを利用するのに手を焼く必要がなくなるのだ。ゾクドックとこのような具体的な契約を結んだのはシカゴが初めてだが、他の医療機関でも民間のスタートアップと同様の提携が進んでいる。

ゾクドックは、パンデミックが起こる前は、患者がさまざまな医師を調べ、医療機関を比較し、予約を取れるワンストップ・ショップとしての役割を果たしていた。同社のオリバー・カラスCEO(最高経営責任者)は、断片化されたヘ保健医療システムの架け橋となることに何年も費やしたことが、知らず知らずのうちに新型コロナウイルスの予防接種の予約を取るシステムとなる準備ができていたと述べる。ゾクドックによると、このアイデアがニューヨークのマウント・サイナイ・ヘルスシステム(Mount Sinai Health System)で試験運用された後、シカゴから提携の話を持ちかけられ、数週間でシステムが稼働したという。ゾクドックは他の1400ものスケジューリング・システムと連携しており、医師側の作業の流れを変えることなく、患者はどのシステムを使用していても単一のシンプルなインターフェイスを使える。

「10回も登録しなくても、次の予防接種の空き枠がいつなのかが分かります」とカラスCEOは語る。

ノースウェスタン記念病院のブルームガーデン医師は、ゾクドックによるこの新たなツールは、シカゴがワクチンを提供する上で「すばらしい改善」となるが、予防接種普及に関わる問題のひとつに対処しているにすぎないと話す。結局のところ、先着順のやり方には変わりないため、最も重要な問題は解決されていないのだ。つまり、最も必要としている人々にワクチン …

新型コロナワクチンの接種が始まった米国ではワクチン配布をめぐって混乱が続いている。予約システムの改善に乗り出す自治体もある一方、接種人数ばかりに気を取られていると、最も弱い立場にある人たちは取り残されてしまうかもしれない。
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MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020
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