KADOKAWA Technology Review
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スターシップが3度目の正直、高高度飛行後に垂直着陸に成功
SpaceX
Starship has finally stuck the landing

スターシップが3度目の正直、高高度飛行後に垂直着陸に成功

スペースXは宇宙船「スターチップ」の飛行試験で、10キロメートルの高度を飛行後に、垂直着陸させることに成功した(ただし、着陸後、機体は爆発)。同社は、スターシップを年内に宇宙に飛ばすという目標に確実に近づいている。 by Neel V. Patel2021.03.05

スペースX(SpaceX)の宇宙船「スターシップ(Starship)」が3月3日、高高度飛行に成功した。スペースXはこれで、同船の高高度飛行を3回連続で成功させたことになる。しかも、最初の2回のミッションと異なり、宇宙船は今回、着陸にも成功した。しかし、着陸した後、宇宙船は前2回と同じように爆発した。

米国中部標準時の3月3日午後5時14分頃、テキサス州ボカチカにあるスペースXの試験施設から10機目のスターシップ試作機(SN10)が打ち上げられ、約10キロメートルの空中飛行を経て、地球に向け無事に降下していった。

その約10分後、宇宙船は爆発した。原因はメタンガス漏れだと思われる。それでも、ミッションの本来の目的は達成された。

スターシップが高高度飛行後に安全に着陸したのは、今回が初めてである。「SN8」は12月9日に飛行し、12.5キロメートルの高度を飛行した後、速度を落としきれずに地上へ激突し、爆発して大破した。2月2日に高度10キロメートルで飛行した「SN9」も、着陸を試みた際にSN8とほぼ同じ運命を辿った。どちらのミッションも、3基のエンジンのうち2基のみを使って着陸しようとした。それに対し、SN10はエンジン3基をすべて使い、最終的に少し横に傾きはしたものの、垂直着陸を成功させた。

スペースXが開発しているスターシップは、地球周回軌道を越えて、月や火星へいずれ宇宙飛行士を運ぶことを目指している。高さ50メートル、燃料充填時の重量は1270トン以上になり、100トン以上の貨物や乗客を深宇宙へ運べるとされている。最終的には、現在開発中の「スーパー・ヘビー(Super Heavy)」ロケットの上に乗り、2段目のブースターの役割も果たすことになる。スーパー・ヘビーもスターシップも、メタンを燃料とするスペースX製「ラプター(Raptor)」エンジンを使用することになっている。

今後の予定については、はっきりとは分かっていない。スペースXは今回、スターシップが高高度を飛行し、安全に着陸できることを証明した。「SN11」も同様の飛行をするかもしれないし、他のテストをするかもしれない。それでも、スペースXは、今年中にスターシップを宇宙に飛ばすという目標に確実に近づいている。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は以前、2026年、あるいは2024年までにも火星に人を送りこみたいと表明している。

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MITテクノロジーレビューの宇宙担当記者。地球外で起こっているすべてのことを扱うニュースレター「ジ・エアロック(The Airlock)」の執筆も担当している。MITテクノロジーレビュー入社前は、フリーランスの科学技術ジャーナリストとして、ポピュラー・サイエンス(Popular Science)、デイリー・ビースト(The Daily Beast)、スレート(Slate)、ワイアード(Wired)、ヴァージ(the Verge)などに寄稿。独立前は、インバース(Inverse)の准編集者として、宇宙報道の強化をリードした。
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