KADOKAWA Technology Review
×
Facebook Wants to Take Over TV

フェイスブック、広告枠が足りず、テレビ事業を本格化

動画シフトで売上絶好調のフェイスブックが映像事業を本格化させれば、行き着くところはテレビとの対決だ。テキストでは広告枠が足りず、売上拡大のためには、面ではなく、視聴時間の中に広告枠を増やしていくしかなくなっただ。 by Jamie Condliffe2017.02.03

長い間、フェイスブックは自分たちがメディア企業だと認めてこなかった。だが、明言こそしてはいないが、フェイスブックはテレビの座を奪おうとしており、メディア企業としての姿が見えてきた。

フェイスブックは、最近ずっと映像に力を入れている。まず、フェイスブックはユーザーのニュースフィード全体に大量の動画を浴びせかけた。次に、ライブ中継機能で友だちに映像をストリーミング配信しよう、と持ちかけてきた。さらに映像製作者に気前よく大金を払い、フェイスブック専用の作品を作らせた。

MIT Technology Reviewのティム・サイモナイト記者が以前の記事で指摘しているように、映像への傾斜は当然だ。フェイスブックは、ニュースフィードの枠が不足しつつあり、広告枠を増やせないことを認めている(これ以上表示すれば、ユーザーは広告が多すぎると思うはずだ)。しかし映像なら、フェイスブックは広告を差し込める。

そこでフェイスブックは、先週の発表により、長めの動画をニュースフィードに入れ込むと決定した。つまり長尺の動画なら、広告を差し込む余地が多くある、というわけだ。しかし、このニュースからは、もっと大きな構想も予見できる。フェイスブックは、単に動画に傾斜するのではなく、テレビの地位を乗っ取ろうとしているのだ。

2月1日、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは「Facebookを、ユーザーが動画を見たかったり、好きな番組で何が起きているのか、最新の情報を知りたかったり、注目している有名人の最近の動向を知りたかったりする時に、見に来られる」場にするための、自身の計画を説明した

ザッカーバーグCEOは、さらに大きな話にも言及した。Facebookを「ここで動画を見たい、毎週次々に見ているコンテンツの最新回をここで見続けたい、と思う」場所にすると考えているというのだ。

つまり、フェイスブックは完全にテレビに取って代われる存在になりたがっている。

Facebookのテレビ化には少し時間がかかるだろう。ザッカーバーグCEO自身は「ユーザーは、長めの動画を見るようになるだろう」というが、当面は短い動画が「主役」であり続けるだろう、ともいう。テッククランチが示しているように、フェイスブックの映像配信は、NetflixよりもYouTube的要素が強くなりそうだ。短編映画並みの長さの独自番組を作り始めるよりは、映像制作者に金を払って、短めの作品を作らせ、たまに、長めの作品も作らせて様子を見る。当面の間はそうなるだろう。

まだ信じられない? では、この話も紹介しよう。フェイスブックが、独自のテレビアプリを開発する計画を進めている噂がある。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(ペイウォール)の記事によれば、フェイスブックは、ロク(Roku)やアップルTVのような「テレビ用セットトップ・ボックス向けに動画メインのアプリを開発中」だという。もし本当なら、フェイスブックは、ユーザーが友だちと共有できるように大量の動画を収集しているだけではないことになる。ユーザーがスマホやPCを操作しておらず、テレビの前にいるときにも、大量の映像を供給し、広告を表示するつもりかもしれないのだ。

Rokuは、テレビに接続するセットトップ・ボックス

メディアではないとずっと主張してきた揚げ句、先月、ザッカーバーグCEOは事実を認めた。フェイスブックという会社は、もしかしたら、ある意味、ひょっとすると、メディア企業なのかもしれない、という事実だ。「フェイスブックは、新しい種類のプラットフォームです。従来型のテック企業ではありません。従来型のメディア企業ではありません」とマーク・ザッカーバーグCEOは映像で述べた。従来型ではない、かもしれないね、マーク。でも、もし君がテレビというゲームに足を踏み入れたら、フェイスブックは結局、メディア企業なんだよ。

(関連記事:Recode, TechCrunch, Wall Street Journal, “「巨大な未完成企業」フェイスブックは2017年が正念場,” “Facebook Now Lets You Live-Stream Video From Your iPhone”)

人気の記事ランキング
  1. Singapore’s police now have access to contact tracing data シンガポールの接触追跡アプリが方針転換、犯罪捜査でも利用可に
  2. The winners of Innovators under 35 Japan 2020 have been announced MITTRが選ぶ、日本発の35歳未満のイノベーターを発表
  3. Don’t panic about the latest coronavirus mutations, say drug companies 新型コロナ「変異種」を過度に恐れる必要がないこれだけの理由
  4. Don’t worry, the earth is doomed 人類を滅亡に導く、15の破壊的リスク
  5. The kitchen of the future is here, it’s just not evenly distributed 電子レンジ、真空調理器超える「キッチン・テクノロジー」の未来
タグ
クレジット Photograph by Justin Tallis | Getty
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
Innovators Under 35 Japan 2020

MITテクノロジーレビューが主催するグローバル・アワード「Innovators Under 35」が2020年、日本に上陸する。特定の分野や業界だけでなく、世界全体にとって重要かつ独創的なイノベーターを発信していく取り組みを紹介しよう。

記事一覧を見る
人気の記事ランキング
  1. Singapore’s police now have access to contact tracing data シンガポールの接触追跡アプリが方針転換、犯罪捜査でも利用可に
  2. The winners of Innovators under 35 Japan 2020 have been announced MITTRが選ぶ、日本発の35歳未満のイノベーターを発表
  3. Don’t panic about the latest coronavirus mutations, say drug companies 新型コロナ「変異種」を過度に恐れる必要がないこれだけの理由
  4. Don’t worry, the earth is doomed 人類を滅亡に導く、15の破壊的リスク
  5. The kitchen of the future is here, it’s just not evenly distributed 電子レンジ、真空調理器超える「キッチン・テクノロジー」の未来
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020SDGs Issue

今、世界中の企業や機関の技術者・研究者たちが各地で抱える社会課題を解決し、持続可能な世界の実現へ向けて取り組んでいる「SDGs(持続可能な開発目標)」。
気候変動や貧困といった地球規模の課題の解決策としての先端テクノロジーに焦点を当て、解決に挑む人々の活動や、日本企業がSDGsを経営にどう取り入れ、取り組むべきか、日本が国際社会から期待される役割について、専門家の提言を紹介します。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る