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自宅で結果がすぐ分かる「家庭用新型コロナ検査キット」を試した
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We reviewed three at-home covid tests. The results were mixed.

自宅で結果がすぐ分かる「家庭用新型コロナ検査キット」を試した

新型コロナウイルスに感染しているかどうかを家庭で判定できる市販の検査キットが米国で出回り始めた。使い勝手も精度もまちまちのこれらの検査キットには手軽にすばやく検査ができるメリットがあるが、思わぬ混乱を招く恐れもある。 by Antonio Regalado2021.05.11

市販の家庭用新型コロナウイルス検査キットがついに登場した。MITテクノロジーレビューは、3社の検査キットを実際に入手し、評価してみた。

薬局チェーン店やネットで検査キットを購入し、自分自身を対象に複数回の検査を試した結果、重要なことを学んだ。家庭用検査キットが新型コロナウイルス感染症を検出し損ねる可能性を心配する人がいるが、むしろ大きい問題はその逆なのかもしれないということだ。評価した検査キットの「偽陽性」率は約2%だ。つまり、この種の検査キットを使い続ければ、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染していなくても、いずれは結果が陽性になってしまうのだ。

私にもその現象が起こった。最初の3回の検査では陰性だったが、4回目に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)陽性」という結果が出たのだ。私は滅多に外出しない模範的な自粛生活者だから、結果はおそらく間違いだろうと思った。だが、それなりに心配だったので、指示に従って病院へ急ぎ、信頼性の高い標準的な臨床検査を受けた。この行動は、私にとっても、私の鼻腔の奥まで綿棒を入れてくれた親切な看護師にとっても、時間の無駄だった。検査の結果は陰性だった。

一部の専門家は、安価で迅速な検査キットを利用すれば、全国民に毎週スクリーニング検査ができると主張している。しかし、私が学んだのは、パンデミックの特効薬と同様、この種の集団検査がはた迷惑な行為になり得るということだ。実際、例えば明日、市販の検査キットを使って米国の全国民を検査したとすれば、陽性者の大部分、おそらく10人のうちの9人は偽陽性だろう。

さまざまな検査キットを試した結果、消費者向け検査キットには重要な役割があると考えるようになった。全般的に言えば、家庭用検査キットは使いやすく、従来の郵送検査キットより安く、検査場で順番を待つより便利だ。感染症の症状があったり、感染者と接触した懸念がある場合は、検査キットが手元にあると心強い。陽性の結果を確認するための代替策があるのなら、家庭用検査キットは学校や企業のスクリーニング・ツールとして使えるだろう。

正確さの問題

家庭用検査キットの問題点は、新型コロナウイルス感染症を検出する正確さが、85%から95%であるという点だと言われている。つまり、家庭用検査キットは10人の感染者のうち9人を検出する。この測定基準は検査の「感度」と呼ばれている。偽陰性の感染者が外出して他の人を感染させる可能性があるため、検査で検出できなかった感染者が一人でもいれば心配だという人もいる。だが、まったく検査をしない場合は感染者を一人も検出できないので、たとえ不完全な検査であっても、検査をしないよりはましだ。

規制されていない検査で厄介なのは、感度よりもむしろ、「特異度」の概念、つまり検査で陰性のものを正しく陰性と判定できる確率であることだ。私が試した家庭用検査キットでは特異度は約98%であり、すなわち偽陽性となる確率は2%だった。私も含め、日常的に薬局チェーン店で買い物をする人は気づかないかもしれないが、100%ではない特異度が増幅され、より大きな問題になる可能性は2通りある。

一つめの可能性は、私のように繰り返し検査をした場合だ。今回、家庭用検査キットの評価が完了するまでの2日間で5回検査をすることで、新型コロナウイルスに感染していないのに感染していると判定される確率は10分の1になった(毎回の検査の結果が偽陽性になる確率2%に5回の検査を掛けた値)。予想しなかった2つめのトラブルの原因は、「検査前確率」と呼ばれるものだ。すでに説明したように、私は人付き合いがよくないので、そもそも実際に新型コロナウイルスに感染している確率が非常に低く、ゼロだった可能性さえある。これが何を意味するかといえば、私が検査の結果、真の陽性と判定される確率も事実上ゼロだった一方で、偽陽性となる確率は他の人と同様に2%のままだったということだ。つまり、私が検査キットを使った場合、いかなる陽性の結果もほぼ確実に誤りだったことになる。

ここで、本当の陽性より偽陽性となる確率の方が高いという現象を大規模な集団、あるいは国全体に当てはめたらどうなるか考えてみよう。米国では新型コロナウイルスの感染率が低下している。このように自然発生率が低いことは、明日、米国内の全員が家庭用検査キットを使用したとすれば、真の陽性者1人に対して5~15人の偽陽性者が発生することを意味している。

結果として、家庭用検査キットは一部の人が期待していたほど有用ではないと考えられる。新型コロナウイルス感染症の集団検査を目的として家庭用検査キットを大規模に使用すれば、不安に駆られた何百万人もの人々が必要のない臨床検査や医療を求めて殺到する可能性がある。

それでも意味はある?

昨年、新型コロナウイルスのパンデミックが世界的に拡大したとき、経済学者や科学者は、感染者を見つけて隔離するために、米国内の検査件数や接触者追跡を大幅に拡大するよう求めた。だが、新型コロナウイルス感染症追跡プロジェクト(Covid Tracking Project)によると、米国における毎日の検査件数が200万件を大きく超えたことはなく、その検査のほとんどは研究所で、あるいは特別な機器を使用して実施された。

メーカーの話によると、家庭用検査キットは数千万個単位で製造されるようになるというが、たとえ完璧に機能する検査キットであっても、現時点でパンデミックの様相を大きく変える力があるかどうかをいぶ …

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