KADOKAWA Technology Review
×
動画生成AI「Sora」の問題点とは? 知財専門家が解説【11/12緊急開催🚨】
脳インプラントでうつ病を大幅改善、個別化医療に期待
JOHN LOK / UCSF
生物工学/医療 無料会員限定
This woman’s brain implant zaps her with electricity when it senses she’s getting depressed

脳インプラントでうつ病を大幅改善、個別化医療に期待

うつ病が発症する兆候を検出すると脳に電気刺激を与える装置を頭蓋骨内に埋め込むことで、うつ病の症状を大幅に改善できることを示す研究が発表された。従来の治療で効果のなかった患者に対する個別化医療として期待される。 by Charlotte Jee2021.10.05

カリフォルニア州に住む36歳の女性、サラは、5年前から慢性的なうつ病を患っていた。1時間の間に何度も自殺したくなり、何を食べるかといった基本的な決断をすることもできなかった。電気ショック療法(電気けいれん療法とも言う)などさまざまな療法を試したが、どれも効果はなかった。

そして2020年6月、サラはうつ病を引き起こしていた脳部位に刺激を送るインプラントを頭蓋骨の中に挿入した。その驚異的な成果が10月4日付のネイチャー・メディシン(Nature Medicine)誌で発表され、治療や投薬の効果がない重度の精神疾患を抱える患者に対する個別化医療として期待されている。

記者会見でサラは、「うつ病が抑えられたことで、生きがいのある人生を立て直すことができました」と語った(サラの名字は明かされていない)。

この脳インプラントの装着には複数の手順が必要だった。カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームは最初に、10個の電極を使ってサラの脳活動をマッピングした。このマッピング作業には10日を要した。その間、研究チームはサラの扁桃体の特定部位の活動レベルの高さから重度のうつ病の発症を予測できることを発見した。また、脳の別の領域にある「腹側線条体」に微量の電気を流すと、サラのうつ病の症状が大幅に改善することも確認した。次に、神経刺激装置を埋め込み、うつ病の症状に関連する脳活動が高レベルで発生していることを検出したときに、その領域に微弱な電気刺激を送るように設定した。

サラ(上の写真)が微弱な電気刺激を感じる …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #35 Soraの問題点とは? AI時代の知財を考える11/12緊急イベント
  2. What a massive thermal battery means for energy storage 1000℃のレンガで熱貯蔵、世界最大の蓄熱電池が稼働
  3. An AI adoption riddle AIの試験運用は失敗続き、それでもなぜ投資をやめないのか?
  4. I tried OpenAI’s new Atlas browser but I still don’t know what it’s for 誰のためのブラウザー? オープンAI「Atlas」が残念な理由
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
気候テック企業10 2025

MITテクノロジーレビューは毎年、気候テック分野で注目すべき企業を選出し、その一覧を発表している。 今回で3回目となる本特集では、なぜこれらの企業を選出したのか、そして米国の政治的変化をどのように考慮したのかについても詳しく解説している。併せてお読みいただきたい。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る