KADOKAWA Technology Review
×
2024年を代表する若きイノベーターたちに会える!【11/20】は東京・日本橋のIU35 Japan Summitへ
主張:史上初のドローン空爆から20年、そろそろ失敗を認める時だ
John Moore/Getty Images
倫理/政策 無料会員限定
It's 20 years since the first drone strike. It's time to admit they've failed.

主張:史上初のドローン空爆から20年、そろそろ失敗を認める時だ

史上初のドローン空爆はその目的を達成できず、それから20年経った今も民間人が殺害されている。テクノロジーの失敗を認める時だ。 by Emran Feroz2021.10.11

8月中旬、タリバンがアフガニスタンの首都カブールを制圧した後、カラシニコフ銃を持った1人の黒ひげ男性が街に現れた。男性は引退した政治家を訪ねたり、首都の歴史的なプルエキシュティ(Pul-e-Khishti)モスクの金曜礼拝で説教をしたりした。しかし、熱心で、勝ち誇った様子の男性は、単なる何万人ものタリバン戦闘員の1人ではなかった。タリバン内の悪名高い軍事組織、ハッカーニ・ネットワークの有名な指導者、カリル・ウルラフマーン・ハッカーニだったのだ。

10年前、米国はハッカーニの首に500万ドルの賞金を懸けた。だから、なぜ今、彼がカブール周辺を大っぴらに動き回っているのか、その姿が諸説を生んだ。それどころか、タリバンは9月、ハッカーニをアフガニスタンの難民担当大臣に任命した。

しかし、ゴシップやオピニオン記事が述べなかった本当に驚くべきことは、ハッカーニが公の場に現れたことではなく、生存しているという事実だ。過去20年間、米軍は何度なくドローン空爆をして、彼を殺害したと考えられていたからだ。

ハッカーニが生きていることは明白だ。しかし、これは紛れもない問題を提起する。カリル・ウルラフマーン・ハッカーニが米国のドローン空爆で殺されなかったのなら、誰が死んだのか?

米国の国家安全保障当局の最高官によって慣行化された、いつもの当たり障りのない回答は「テロリスト」だ。しかし、米軍がアフガニスタンから撤退する最後の数日は、必ずしもそうではないことを示した。例えば、人々が密集したカブール空港にいた米軍への攻撃があった翌日、米国は首都カブールで「標的を絞った」ドローン空爆という反撃に出た。この反撃で殺された1家族10人、そのすべてが民間人だったことが後で明らかになった。犠牲者10人の内、1人はアフガニスタンで米国のために通訳として働き、特別移民ビザを持っていて、7人は子どもだった。この攻撃はバイデン政権が、当初、一般的な成功と述べた事例に合致しない。

この空爆はこれまでとは違った。何年もの間、米国の空からの作戦のほとんどは、遠隔地域の農村で実施され、事実確認はできず、現場に行ける人も多くないものだった。

しかし、今回はアフガニスタンの首都のど真ん中で起こった。

ジャーナリストや調査員は、現場を訪れることができた。つまり、米国が主張しているすべての事実確認が簡単にできたのだ。 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. How ChatGPT search paves the way for AI agents 脱チャットGPTへ、オープンAIが強化するプラットフォーム戦略
  2. Promotion NIHONBASHI SPACE WEEK 2024 アジア最大級の宇宙ビジネスイベント、東京・日本橋でまもなく開催
  3. Promotion Innovators Under 35 Japan Summit 2024 in Nihonbashi 2024年のイノベーターが集結「U35 Summit」参加者募集中
  4. This AI-generated Minecraft may represent the future of real-time video generation AIがリアルタイムで作り出す、驚きのマイクラ風生成動画
  5. The winners of Innovators under 35 Japan 2024 have been announced MITTRが選ぶ、 日本発U35イノベーター 2024年版
  6. Inside a fusion energy facility 2026年の稼働目指す、コモンウェルスの核融合施設へ行ってみた
▼Promotion イノベーター under35 2024
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る