KADOKAWA Technology Review
×
MIT TECHNOLOGY REVIEW | ENVATO
知性を宿す機械 無料会員限定
Facebook wants machines to see the world through our eyes

FBがGoPro風動画の大規模データセット、3025時間分の映像を収集

フェイスブックAIリサーチは、一人称視点で撮影した膨大な数の動画を集めた過去最大規模のデータベースを作成した。人々の日常生活の助けになるようなAIを訓練するのに役立つとしているが、将来的にどのように利用されるのか懸念もある。 by Will Douglas Heaven2021.10.18

AI(人工知能)が写真や映像の内容を認識できることを私たちは当然のように考えている。しかしこの能力は、イメージネット(ImageNet)のような巨大データベースに依るものだ。イメージネットは人の手により収集・整理された数百万枚もの写真データベースであり、過去10年間において好成績をおさめた画像認識モデルの大半の訓練に利用された。

しかし、そうしたデータベースの画像は精選された物体の世界を表現している。いわば画廊のようなものであり、私たちが日々の生活で経験しているような雑然とした世界を捉えてはいない。私たちが見ているのと同じようにAIに物事を見させるためには、まったく新たな手法が必要になってくる。フェイスブックのAI研究所が、その先鞭をつけようとしている。

フェイスブックが最近立ち上げた「エゴ4D(Ego4D)」と呼ばれるプロジェクトは、一人称視点、つまり傍観者ではなく当事者視点で場面や活動を理解できるようなAIの開発を目指している。第三者によって撮られたきれいな額縁に入っているようなシーンではなく、動きながらゴープロ(GoPro)で撮った、被写体ブレが生じているような動画を思い浮かべると良いだろう。 フェイスブックは、エゴ4Dの一人称視点映像に、イメージネットの写真と同じ役割を果たさせたいと考えているのだ。

フェイスブックAIリサーチ(Facebook AI Research:FAIR)は過去2年間、世界の13の大学と協力し、深層学習による画像認識モデルの訓練用に、過去最大の一人称視点映像のデータセットを作成した。このデータセットでAIを訓練すれば、人間と関わるロボットの制御や、スマートグラスを通した画像判読の精度がより向上するだろう。「人々の目を通した世界を本当に理解できるようになれば、AIは日々の生活に大いに役立つようになるでしょう」と話すのは、FAIRの研究員で当プロジェクトを率いるクリステン・グローマン博士だ。

そのような技術は、自宅での生活で援助を必要とする人々を助け、あるタスクの習得を目指している人々を上手く指導できるかもしれない。「エゴ4Dのデータセットに保存されている映像は、人間が世界を観察するのにかなり近くなっています」。グーグル・ブレイン(Google Brain)とニューヨーク州立大学ストーニーブルック校に所属するコンピュータービジョンの研究員であるマイケル・リュウ准教授はこう話す(同准教授はエゴ4Dの開発には携わっていない)。

一方で、この技術が悪用される可能性があることも明白であり、憂慮している人々もいる。エゴ4Dは、人々の幸福より自社の利益を優先しているとして米上院で最近非難されたソーシャルメディア大手、フェイスブックが資金を出しているのだ。同社が利益を優先しているという上院による所感は、MITテクノロジーレビューの独自調 …

フェイスブックAIリサーチは、一人称視点で撮影した膨大な数の動画を集めた過去最大規模のデータベースを作成した。人々の日常生活の助けになるようなAIを訓練するのに役立つとしているが、将来的にどのように利用されるのか懸念もある。
こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
日本発「世界を変える」35歳未満のイノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

記事一覧を見る
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.5
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.5Cities Issue

新型コロナのパンデミックによって激変した都市生活は、ポストコロナでどう変わるのか? 都市部への人口集中が世界で加速する中、環境、災害、貧困といった負の側面をテクノロジーは解決できるのか? 多様な人々が集まり、化学反応が起きるイノベーションの集積地としての役割を都市は今後も果たし続けるのか? 世界の豊富な事例と識者への取材を通して、新しい都市の未来像を描く。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る