KADOKAWA Technology Review
×
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
世界が再び厳戒態勢に オミクロン株についていま分かっていること
AP
We still don't enough about the Omicron variant to panic

世界が再び厳戒態勢に オミクロン株についていま分かっていること

新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」への警戒が強まり、緊急措置として各国で渡航制限などが実施されている。現時点で分かっていることは少ないが、再感染のリスクが高い可能性がある。 by Charlotte Jee2021.11.30

世界保健機関(WHO)は11月24日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新たな変異株を南アフリカの科学者が発見したと報告した。以来、状況は急速に悪化している。「B.1.1.529」と呼ばれるこの変異株はすでに世界の多くの国で確認されており、11月26日にはWHOによって「懸念される変異株(VOC:Variant of Concern)」に指定され、WHOの命名システムに従ってギリシャ語アルファベットの15番目の文字である「オミクロン」と命名されることになった。

各国政府は入国制限や国境閉鎖を再実施するとともに、国内での新型コロナウイルス感染拡大を抑制するために新たな措置を講じている。日米欧の主要7カ国(G7)は11月29日、対応を協議するために緊急の保健相会合を開いた。

ウイルスは常に変異するものであり、そのこと自体は心配する必要はない。オミクロン株が懸念される理由のひとつは、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質に多くの突然変異がある点だ。オミクロン株には約30カ所に突然変異が見られ、この数はデルタ株の約2倍にあたる。スパイクタンパク質は、ウイルスが人間の細胞に侵入するのを助ける部分だ。WHOによると、オミクロン株が再感染のリスクが高いことを示す予備的な証拠があるという。

オミクロン株は、アフリカ南部を中心に英国、欧州、香港、カナダ、イスラエル、オーストラリアなど、すでに少なくとも15カ国で確認されている。

ただ、オミクロン株についてはまだほとんど分かっていない。これまでも、感染拡大につながらなかった変異株に過剰反応してきた過去がある。重要なのは、オミクロン株は感染力が高いのか、死亡や入院を増加させるなど症状を悪化させるのか、という点だ。そして極めて重要なのは、ワクチンや過去の感染によって得られた免疫が、オミクロン株に有効なのかどうかという点だ。これらの疑問に対する明確な答えはまだ出ていない。だが、スパイクタンパク質に多くの突然変異が見られることから、ワクチンの効果にある程度の影響を与える可能性はあるようだ。

もしそうだとしたら、ワクチンメーカーは新しいバージョンを作るために迅速に行動する必要がある。幸いなことに、mRNAテクノロジーを使えば、比較的容易にワクチンを改良できる。モデルナ(Moderna)のポール・バートンCMO(最高医療責任者)は、11月28日にBBCの取材に対して、早ければ来年初めにはオミクロン株に対応した新しいブースターワクチンを用意できるだろうと語っている。

現在、世界中の研究者たちが競い合って、オミクロン株の脅威を理解するために必要なデータを集めている。また、オミクロン株がどのように発生したかも正確にわかっていない。オミクロン株が発生したと思われる南アフリカのワクチン接種率は35パーセントだ。専門家は以前から、世界での不公平なワクチン分配がウイルスの変異機会を増やし、世界的なリスクになると警告してきた。

パンデミックの期間を通じて言えるのは、あなたとあなたの大切な人を守るためには予防接種を受けるのが最善であるということだ。3回目のワクチン接種(ブースター・ショット)を受ける機会があるのなら接種しよう。オミクロン株に対してはワクチン効果が低下する可能性はあるが、効果が完全に無くなることはないだろう。

人気の記事ランキング
  1. A new US phone network for Christians aims to block porn and gender-related content ポルノもLGBTも遮断、キリスト教徒向けMVNOが米国で登場
  2. Musk v. Altman week 1: Elon Musk says he was duped, warns AI could kill us all, and admits that xAI distills OpenAI’s models 「オープンAIを蒸留した」マスク対アルトマン第1週、法廷がざわめく
  3. Will fusion power get cheap? Don’t count on it. 核融合は本当に安くなるのか? 楽観論に「待った」をかける新研究
シャーロット・ジー [Charlotte Jee]米国版 ニュース担当記者
米国版ニュースレター「ザ・ダウンロード(The Download)」を担当。政治、行政、テクノロジー分野での記者経験、テックワールド(Techworld)の編集者を経て、MITテクノロジーレビューへ。 記者活動以外に、テック系イベントにおける多様性を支援するベンチャー企業「ジェネオ(Jeneo)」の経営、定期的な講演やBBCへの出演などの活動も行なっている。
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
AI革命の真実 誇大宣伝の先にあるもの

AIは人間の知能を再現する。AIは病気を根絶する。AIは人類史上、最大にして最も重要な発明だ——。こうした言葉を、あなたも何度となく耳にしてきたはずだ。しかし、その多くは、おそらく真実ではない。現在地を見極め、AIが本当に可能にするものは何かを問い、次に進むべき道を探る。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る