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バイオ油を使わず埋める
米スタートアップの
意外な炭素除去ビジネス
Charm Industrial
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Inside Charm Industrial's big bet on corn stalks for carbon removal

バイオ油を使わず埋める
米スタートアップの
意外な炭素除去ビジネス

新興企業のチャーム・インダストリアルは、収穫を終えたトウモロコシの葉や茎からバイオ燃料油を作り、地下に埋めることで、これまでに数千トン相当の二酸化炭素を隔離したという。大胆なアプローチだが、信頼性、スケーラビリティ、採算性がどの程度になるのか、現時点では明確になっていない。 by James Temple2022.06.01

ここ数週間にわたって、チャーム・インダストリアル(Charm Industrial)という企業の従業員たちが、カンザス州のトウモロコシ畑の端っこで作業をし、茎、葉、皮、穂のロールベール(牧草などをロール状にしたもの)を白いセミトレーラー・トラックへと載せている。

脱炭素イノベーション
この記事はマガジン「脱炭素イノベーション」に収録されています。 マガジンの紹介

車内では、パイロライザーと呼ばれる装置が、高温無酸素状態を利用して植物原料をバイオ炭の混合物とバイオ燃料油に分解している。バイオ炭の混合物は最終的に畑へと戻され、土壌に炭素と栄養分を加えることになる。

だが、このバイオ燃料油は、米国環境保護庁(EPA)が規制する産業廃棄物用の深井戸や、石油・ガス会社が残した岩塩空洞(岩塩層を溶かして作り出した地下空洞)に投入される。チャームによれば、バイオ燃料油がそこで固定されると、本来なら農家が作物残渣(ざんさ)を燃やしたり腐らせたりして空気中に戻ったはずの炭素を、数千年から数百万年にわたって閉じ込めておけるのだという。

マイクロソフト、ショッピファイ(Shopify)、ストライプ(Stripe)などの企業は、チャームが炭素1トンを地中に注入するたびに600ドルを支払っている。自社の排出量を相殺したり、大量の温室効果ガスを大気中から回収して貯留することで気候変動を抑えるという重要な役割を果たす必要がある産業の発展を支援したりすることが目的だ。

サンフランシスコのスタートアップ企業であるチャームは、ここ2年間、この方法で炭素を隔離してきた。昨年末には、これまでにこのプロセスで5500トン相当の二酸化炭素を安全に閉じ込めたと発表し、今日までに実現した長期的な炭素除去で最大の量であると主張した。しかしこの量は、温暖化する地球を安全圏まで引き戻すために今後数十年にわたって世界中で回収する必要性を気候科学者たちが警告する、年間数十億トンのうちのほんのわずかだ。加えて、チャームのアプローチの信頼性、スケーラビリティ、経済性がどの程度になるかについても多くの疑問と懸念がある。

チャームは、主にシンプルなアプローチを取っているため、他社にじわじわと差をつけている。炭素の回収を農作物に頼り、貯留には既存の層を使用している。また、チャームは大きなプロジェクトを構築する必要がないので、クライムワークス(Climeworks)やカーボン・エンジニアリング(Carbon Engineering)などのスタートアップ企業が炭素回収工場を建設しようとして直面している開発や許可、資本に関する課題の一部を回避している。

しかし、ほとんど存在しない分野で最初にリードしていたところで、市場が発展するにつれてその会社の成り行きがどうなるのか必ずしもわかるわけではない。とりわけ、次世代の直接空気回収プラントが稼働すれば、チャームがこれまでに達成してきた量の180倍となる年間100万トンの二酸化炭素が除去されることになるはずだ。

チャームはまた、規模を拡大していく中で、畑・井戸間の廃棄物輸送コストの上昇、依存する農業副産物の競争的需要、そのアプローチが最終的に除去する炭素の正味量に関する疑問など、明らかな課題にも直面する。

さらにチャームは、炭素の除去と貯留において他の新興企業が直面しているのと同じリスクに直面することになる。こうした企業は、大企業が大気の浄化に対して高い費用を負担し続けるのをいとわないことや、政府が必要な政策を制定してコストのかかる業界を強化することを当てにしているのだ。

トウモロコシの茎からカーボンクレジットへ

チャームの最高経営責任者(CEO)であるピーター・ラインハルト(32歳)は以前、トゥイリオ(Twilio)が32億ドルで2020年に買収した「セグメント(Segment)」という顧客データソフトウェア企業を率いていた。ラインハルトCEOは、セグメントの排出量を相殺する方法として炭素除去を検討し始めたが、最初は熱帯雨林の保護への資金提供などの可能性を模索していた。

2018年、ラインハルトと他3名はチャーム(「char(炭)」と「farm(農場)」を合わせた語)を共同で設立し、自分たちがより有望なアプローチと考えていたものを基に事業を築いた。当初の計画は、バイオマスをガス化することであった。これは熱分解に似たプロセスだが、高温でバイオ炭と水素を作り出す。ラインハルトCEOたちは、後者の水素が実際に儲けになることを期待していた。

しかしチャームは、バイオマスを回収してから一カ所に集約したガス化施設に輸送するのはあまりにコストがかかりすぎることに気づいた。理由は、バイオマスが「ふわっとしすぎている」ためだ。バイオマスはかさばり、重く、扱いにくいため、取り扱いと移動のコストが増加する。バイオ燃料企業が10年以上も前に学んだ苦い教訓だ。

2020年、チャームの主任科学者で共同創業者でもあるショーン・ミーハンはすばらしいアイデアを思い付いた。ラインハルト CEOが「半端なガス化」と呼ぶものをあえて実行して、水素の代わりにバイオ燃料油を作り出せば、その装置をセミトレーラー・トラックの後部に収めることができるのではないかというものであった。その場合は、農場まで乗り入れて、畑の端っこでそのプロセスを実行できるというわけだ。

チャームは現在、約30人の従業員を抱え、農家にお金を払って収穫後に残った不要な植物 …

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