KADOKAWA Technology Review
×
Innovators Under 35 Japan 2026 候補者募集開始!
アマゾンのインターホンで撮った短編動画が人気、テレビ番組化も
Ms Tech | Getty, Envato
カルチャー 無料会員限定
Ring’s new TV show is a brilliant but ominous viral marketing ploy

アマゾンのインターホンで撮った短編動画が人気、テレビ番組化も

玄関先に取り付けられたテレビ・ドアホン(カメラ付きインターホン)が捉えた映像を面白おかしく紹介する番組「リング・ネーション」が米国で放送されている。アマゾンのテレビ・ドアホンを一般家庭に広く普及させることが番組の狙いだ。 by Abby Ohlheiser2023.01.06

ティックトック(TikTok)、フェイスブック(Facebook)、ネクストドア(Nextdoor)、その他無数のソーシャル・ネットワークで、流行している動画ジャンルがある。あなたも見たことがあるか、あるいは少なくともスクロールして飛ばしたことはあるかもしれない。再生時間は短く、魚眼レンズ越しの映像で、しばしば「Ring.com」と書かれたロゴが入っているのが特徴だ。

これらの映像は、テレビ・ドアホンを提供している「リング(Ring)」の顧客から得られたものだ。自宅の防犯や配達の監視、また玄関にやって来た人を確認したり、やりとりをするためにリングのテレビ・ドアホンを設置した人たちだ。

#RingDoorbellのハッシュタグはティックトックだけで25億回以上の再生回数を記録している。リングのテレビ・ドアホンが捉えた映像は独自の人気カテゴリーとして確立しており、これらの映像は2022年9月に放送が始まったテレビ番組「リング・ネーション(Ring Nation)」を通して、さらに多くの視聴者に拡大するかもしれない。

同時に、この番組はリングのイメージをきれいに塗り替えるだろう。同社は過去約10年間にわたり、顧客データの管理方法、特にユーザーの同意なく司法当局に映像へのアクセスを許してきたことで、批判を浴びてきた。

「リング・ネーション」の発表リリースによると、同番組は楽しい動物やプロポーズ場面、ご近所との心温まるふれあいを取り上げ、注意深くイメージを作り上げていくようだ。そして番組と、ネットでランダムに見られるリングの動画との差別化を図るためだろうか、ナレーターはコメディアンのワンダ・サイクスが担当する。配給会社はMGMスタジオ(MGM studios)で、リングと同じくアマゾン(Amazon.com)傘下の企業だ。制作も「オン・パトロール:ライヴ(On Patrol: Live)」を手掛けたアマゾン傘下のビッグ・フィッシュ・エンターテインメント(Big Fish Entertainment)が担当する(この番組は以前は「ライヴ・PD(Live PD)」というタイトルで知られていた。警察の行為および時に暴力と、エンタテインメントの間の境界線を曖昧にしたことで物議を醸したリアリティ番組だ)。

「当社のお客様は、使用中のリング製品やリングのサービスが、いかに地域社会とつながり、お客様が特に大切にしているものを守るのに役立っているか、いつも映像を共有してくれています」。リングのエマ・ダニエルズ広報担当者はMITテクノロジーレビューに、こうメールでコメントを寄せた。

これらの動画はさらに多くの動画を生むと、電子フロンティア財団の政策アナリストでプライバシーを専門とするマシュー・グアリグリアは語る。今回のテレビ番組は、「カメラが捉えた、おかしくてかけがえのない小さな瞬間がたくさんある」ことを視聴者に印象付けることになるとグアリグリアは言う。しかし、これは「どこでも、いつも、誰でも監視下に置かれるという究極の目標に向かうだけです」と、グアリグリアは付け加える。

そしてもちろん、そのような瞬間を独特の美的感覚の映像としてリングのテレビ・ドアホンで捉えようと思ったら、まずはリングのテレビ・ドアホンが必要となる。再生回数を稼げるジャンルだということが証明され、確立されれば、ネット上で、またはテレビで流行するという成功を真似しようとする者が出てくる。それがネットでバズが生まれる仕組みだ。そしてその仕組みが「リング・ネーション」を実質的に、さらに多くの動画を無限ループの中で生んでいく拡張バイラル・マーケティングキャンペーンにしていくだろう。1つ1つの動画が、リングという製品自体の低コスト・マーケティングの一環となるわけだ。

「巧妙なごまかし」

「リング・ネーション」は、サンタモニカに拠点を置くリングによる、監視カメラ映像をエンターテインメントに変身させる実験的な試みだが、決して初めての取り組みではない。

リングのテレビ・ドアホンが捉えた動画が同社のユーチューブ・チャンネルに初めて現れたのは2015年。チャンネル創設後わ …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. It’s time to address the looming crisis in entry-level work. 「コーディングを学べ」もう通用せず、AIが若者の雇用を奪い始めた
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2026 「Innovators Under 35 Japan」2026年度候補者募集のお知らせ
  3. Anthropic’s Code with Claude showed off coding’s future—whether you like it or not 「Claudeに任せてしまおう」 たった1年で激変したソフトウェア開発
▼Promotion
社会実装都市「ひろしま」の魅力に迫る ローカル ✕ イノベーション
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る