KADOKAWA Technology Review
×
アルゴリズムでインスリン量を自動調整、ハーバード発の人工膵臓
Erica Snyder/MITRR | Unsplash
生物工学/医療 無料会員限定
A bionic pancreas could solve one of the biggest challenges of diabetes

アルゴリズムでインスリン量を自動調整、ハーバード発の人工膵臓

ハーバード大学などの研究チームが、適応学習アルゴリズムを用いて食事中の炭水化物量を計算し、インスリンを自動注入するデバイスを開発した。患者の負担を減らすと同時に、従来手法より血糖値を下げられることから、患者の生活の質を高めるのに役立ちそうだ。 by Rhiannon Williams2022.09.30

1型糖尿病患者の血糖値を下げるのには、インスリンを自動注入するバイオ人工膵臓の方がインスリンポンプや注射よりも効果的であることが、最近の治験で証明された。

1型糖尿病は、血糖値を調整するホルモンであるインスリンを膵臓が十分に分泌できなくなることで、患者の血糖値が危険域にまで上昇する重篤な疾患である。1型糖尿病患者は毎日、血糖値を調べて、インスリンを摂取しなければならない。

「アイレット(iLet)」というバイオ人工膵臓は、クレジットカード程度の大きさのデバイスだ。血糖値を24時間モニターし、必要な時に体に挿入された細いカニューレからインスリンを自動注入する。通常は腹部に常時装用する。このデバイスは利用者の体重に基づいてインスリン注入量を決定し、利用者が注入量を調整することはできない。

ハーバード大学医学部の研究チームが、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(The New England Journal of Medicine)に掲載されたiLetの研究結果を米国食品医薬品局(FDA)に提出した。同チームは将来的に、米国でiLetを市場に投入することを目指している。2010年にボストン大学とマサチ …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. An ancient man’s remains were hacked apart and kept in a garage 切り刻まれた古代人、破壊的発掘から保存重視へと変わる考古学
  2. This startup just hit a big milestone for green steel production グリーン鉄鋼、商業化へ前進 ボストン・メタルが1トンの製造に成功
  3. AI reasoning models can cheat to win chess games 最新AIモデル、勝つためなら手段選ばず チェス対局で明らかに
  4. OpenAI has released its first research into how using ChatGPT affects people’s emotional wellbeing チャットGPTとの対話で孤独は深まる? オープンAIとMITが研究
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る