自動運転業界に世代交代、
AI採用の「AV2.0」は
3Dマップ不要で走る
米国の一部で自動運転のロボタクシーの導入が実現したものの、試験段階を超えて普及する兆しは見えない。新世代の無人運転自動車スタートアップはAIを全面的に採用することで、突破口を見い出そうとしている。 by Will Douglas Heaven2022.10.14
ロンドンに拠点を置く無人運転自動車スタートアップ企業のウェイブ(Wayve)は、乗用車と配送用バン、2種類の車両の運転に対応する機械学習モデルを開発した。同一の自動運転AI(人工知能)が複数種類の車両の運転を学習するのは、これが初めてとなる。
ウェイブは以前、ロンドンの道路で訓練した自社のAIが、英国内の他の4都市でも運転可能であることを示した。今回のAIが完成したのはそれから1年足らず後のことで、通常なら大幅な再設計を必要とする課題だ。「人間が見知らぬ土地でもレンタカーを借りて運転できるのと同じことです」と、ウェイブの技術担当副社長を務めるジェフ・ホークは言う。
自律型車両(Autonomous Vehicle:AV)に対するウェイブのアプローチは、深層学習モデルをまっさらな状態から運転が可能なレベルにまで訓練するというものだ。今回ウェイブのAIが見せた進化は、同社がこのアプローチによって、クルーズ(Cruise)やウェイモ(Waymo)、テスラといったリーディング・カンパニーよりも迅速にスケールアップできる可能性を示している。
ウェイブの企業規模は、規模・資金力の面で優位な競合他社に比べると、はるかに小さい。しかし、同社はワービ(Waabi)やゴースト(Ghost)など、一部では「AV 2.0」として知られる新世代の無人運転自動車スタートアップに名を連ねている。無人乗用車企業の第1世代はロボット工学的な発想をとっており、超詳細な3Dマップとセンシング・走行計画用モジュールをベースに無人乗用車を運転している。一方、新世代スタートアップは、この発想を捨てている。その代わりにAIを、自律自動車のベースとして全面的に採用している。
ロボット工学的アプローチでは、米国のフェニックス(アリゾナ州)とサンフランシスコのごく限られた一部道路で自動運転によるロボタクシーの導入が実現した。しかし、これには膨大なコストがかかり、こういったタクシーサービスが間近に試験段階を越えて普及する兆しはほとんどない。ウェイブをはじめとする新世代スタートアップはこうした状況の変革を目指している。コンピュータービジョンや自然言語処理で使われてきた深層学習を自動運転車に応用することで、複雑な3Dマップの更新や、人手でのソフトウェアシステムの保守を必要とすることなく、未知の道路やシナリオへの順応性を高めた自動運転車を開発しようとしている。
https://www.youtube.com/watch?v=Y2NuhxGbeH8
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