KADOKAWA Technology Review
×
ツイッター買収のマスクが
ヴァイン復活をぶち上げ、
ティックトック対抗なるか?
YuiMok/Alamy
シリコンバレー 無料会員限定
Elon Musk's plans to revive Vine face one big problem: the reason it closed originally

ツイッター買収のマスクが
ヴァイン復活をぶち上げ、
ティックトック対抗なるか?

ツイッターを買収したイーロン・マスクが、短編動画サービスの先駆けである「ヴァイン(Vine)」の復活を計画している。ティックトック(TikTok)一強の時代に、どうやって競争するのだろうか? by Chris Stokel-Walker2022.11.02

多くの人に愛された風変わりな短編動画共有アプリ「ヴァイン(Vine)」が、おそらく復活する。ヴァインは、2012年から2017年までのごく短い期間、脚光を浴びたが、その最盛期に閉鎖されてしまった。すっかり色褪せてコモディティ化し、どのアプリも同じように見えるようになる前のソーシャルWebの最後の輝かしい存在として、ヴァインは多くのミレニアル世代のハートをつかんだ。Vineはインターネットの未来になり得る可能性を持つアプリだった。

アラバマ大学コミュニケーション情報科学部のジェシカ・マドックス助教授は、「インターネット上で意見が一致することはほとんどありませんが、多くに人が強烈なノスタルジアとともにヴァインを懐かしんでいます」と語る。

多くの人がヴァインに注目しているという事実は、ツイッターを買収して大幅な人員削減を実施し、ソーシャルメディア・プラットフォームのポリシーを憂慮すべき方向に転換したことで批判にさらされているイーロン・マスクが、アプリの復活を口にした理由なのかもしれない。

ヴァインは正式なサービスを開始する前の2012年にツイッターによって買収されている。多くの決定事項と同様に、ヴァイン復活の決定は、マスクのツイッター・アカウントのフォロワーの投票によって最初に明らかになった。10月31日深夜、ヴァインを復活させるべきかどうか、マスクはフォロワーに尋ねた。これまでに400万人以上が投票し、69.4%が賛成している。

その数時間後、年内のヴァイン再開に向けて、コードベースを調査するようツイッターのエンジニアらが指示を受けたとアクシオス(Axios)は報じた(本誌はツイッターにコメントを求めたが回答は得られなかった)。アンドロイド版ヴァインの技術責任者だったサラ・ベイクプールは、復活のニュースを戸惑いを持って受け止めた。

「ヴァインのコードは6年以上前のものです。中には10年以上前のものもあります」とツイートしたベイクプールは、アンドロイド版ヴァインのリリースを当時ブログで発表した人物だ。「コードは見ないほうがいい。ヴァインを復活させたいのであれば、一からやり直すべきです」。本誌はベイクプールにもコメントを求めたが、回答は得られなかった。

ヴァインの復活をマスクに思いとどまらせるのは、10年前のコードを今でも使える形に作り直せるかどうか、ということだけではないだろう。たとえ幅広い支持があって、どれだけノスタルジーの波に乗ったとしても、ヴァインの精神を引き継いだティックトック(TikTok)に移行してしまったユーザーには浸透しないだろう。ソーシャルメディア収益化のコンサルタントであるカルロス・パチェコは、「ヴァイン以来、プラットフォームは進化しており、 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. A long-abandoned US nuclear technology is making a comeback in China 中国でトリウム原子炉が稼働、見直される過去のアイデア
  2. Here’s why we need to start thinking of AI as “normal” AIは「普通」の技術、プリンストン大のつまらない提言の背景
  3. AI companions are the final stage of digital addiction, and lawmakers are taking aim SNS超える中毒性、「AIコンパニオン」に安全対策求める声
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る