KADOKAWA Technology Review
×
MINEDOJO
人工知能(AI) 無料会員限定
A bot that watched 70,000 hours of Minecraft could unlock AI’s next big thing

ユーチューブを7万時間見続けたAI、最高のマイクラボットになる

オープンAI(OpenAI)が開発した新しいゲーム・ボットは、7万時間分のユーチューブ映像からマインクラフトのプレイを習得した。膨大なネットの映像からAIが学ぶ手法は、ゲーム以外にも応用できそうだ。 by Will Douglas Heaven2022.12.07

オープンAI(OpenAI)は、人気コンピューターゲーム「マインクラフト」の7万時間にもおよぶ人間のプレイ映像を視聴させることで、過去最高のマインクラフト・プレイボットを開発した。ユーチューブのような膨大かつ未開拓の訓練データを利用することで、マインクラフトに限らずさまざまなタスクをこなす機械を訓練できる可能性がある注目の新手法だ。

この「マインクラフトAI」は、キーボードやマウスをクリックする複雑な連続した動作を実行して、木を切り倒したり、道具を作ったといったゲーム内のタスクをこなすことを学習した。ボットとして初めて、「ダイヤモンド・ツール」と呼ばれるアイテムを生成できる。これはマインクラフトの熟練のプレイヤーが、通常、高速で20分間クリックするか、およそ2万4000アクションが必要なタスクである。

この結果、ニューラル・ネットワークに人間が実行するタスクを見せて訓練する、「模倣学習」として知られる技術のブレークスルーがもたらされた。模倣学習は、ロボットアームの制御、車の運転、Webページのナビゲートといった人工知能(AI)の訓練に利用できるものだ。

ネット上には、さまざまなタスクをこなす人間の姿を映した膨大な量の映像がある。こうしたリソースを活用することで、GPT-3が大規模言語モデルに対して実施したのと同じようなことを、模倣学習に適応できるのではないかと研究者は期待している。新しいマインクラフトプレイ・ボット開発チームの一人、オープンAIのボーエン・ベイカーは、「ここ数年、インターネットの広大な空間から得られるデータで訓練された大規模モデルから優れた能力が生まれるという、GPT-3パラダイムの台頭を目の当たりにしてきました」と言う。「GPT-3パラダイムが成功している大きな理由は、人間がオンラインになったときに実行していることをモデル化しているためです」。

模倣学習における既知の問題点は、「この動作をするとこうなる」「その動作をするとああなる」といった具合に、映像のステップごとにラベル付けをしなければならないことだ。手作業によるアノテーション(ラベル付け)は大変な作業なので、データセットは小さくなりがちだ。ベイカーたちは、ネットで公開されている数百万本の映像を新しいデータセットに置き換える方法を模索していた。

ビデオ・プレトレーニング(VPT:Video Pre-Training)と呼ばれるこのアプローチでは、映像に自動的にラベル付けする別のニューラル・ネットワークを訓練させる …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. A tiny new open-source AI model performs as well as powerful big ones 720億パラメーターでも「GPT-4o超え」、Ai2のオープンモデル
  2. The coolest thing about smart glasses is not the AR. It’s the AI. ようやく物になったスマートグラス、真価はARではなくAIにある
  3. Geoffrey Hinton, AI pioneer and figurehead of doomerism, wins Nobel Prize in Physics ジェフリー・ヒントン、 ノーベル物理学賞を受賞
  4. Geoffrey Hinton tells us why he’s now scared of the tech he helped build ジェフリー・ヒントン独白 「深層学習の父」はなぜ、 AIを恐れているのか?
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者は11月発表予定です。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る