KADOKAWA Technology Review
×
【5/24まで】ひと月あたり1000円で購読できる春のキャンペーン実施中!
最先端は「レンガ」、熱貯蔵は脱炭素の切り札になるか?
Stephanie Arnett/MITTR | Getty
気候変動/エネルギー 無料会員限定
The hottest new climate technology is bricks

最先端は「レンガ」、熱貯蔵は脱炭素の切り札になるか?

化石燃料を使って製造プロセスで使う熱を生成する重工業は、温室効果ガスを大量に排出している。クリーン電力で生成した熱を貯蔵して使うことで、化石燃料の使用を減らす試みが始まっている。 by Casey Crownhart2023.04.14

世界的にも特に大きな大気汚染源である重工業の工場において、熱を保持するレンガが再生可能エネルギーを利用するための鍵となるかもしれないと考えているスタートアップ企業がいる。

鋼鉄からベビーフードにいたるまで、製造に大量の熱を必要とする製品を作っている産業界は、現時点ではその熱の大半を天然ガスなどの化石燃料を燃やすことで生み出している。とりわけ重工業は、世界の温室効果ガス排出量の約4分の1を占めている。温室効果ガス排出量の少ない代替電力源(風力や太陽光)では、工場で製品を製造するために必要とする熱を絶えず生み出し続けることはできないからだ。

そこで、注目されているのが「ヒート・バッテリー(熱電池)」だ。積み重ねたレンガにクリーン電力によって作られた熱を取り込み、後に使用するために貯蔵しておくシステムの導入に取り組んでいる企業が増えてきている。このようなシステムの多くはシンプルな設計と市販の素材を使用し、どこでも必要な場所にすばやく構築できる可能性を持っている。米国カリフォルニア州で今年、ある実証実験が始まり、その直後に別の試験システムが稼働を始めた。これらはまだ初期段階だが、熱貯蔵システムは産業界の化石燃料からの脱却を後押しする可能性を秘めている。

未来のトースター

熱電池の今後の成功への鍵の1つは、その単純さにある。「大規模なものにしたいなら退屈で信頼性の高いものを、という意見には誰もが同意するはずです」。カリフォルニアに拠点を置く熱貯蔵スタートアップ企業、ロンド・エナジー(Rondo Energy)の最高経営責任者(CEO)であるジョン・オドネルはそう話す。

ロンド・エナジーは今年3月に、同社初の商用試験システムをカリフォルニア州のあるエタノール工場に導入した。そのシステムとは基本的に、慎重に設計されている積み重ねたレンガである。

ロンド・エナジーのシステムでは、電気が発熱体を通過し、熱へと変換される。オドネルCEOによると、これはトースターに使われているのと同じメカニズムで、はるかに大きく、温度が高くなっただけだという。変換された熱は積み重ねたレンガを通じて放射され、温度は1500 °C以上に達する場合もある。

このレンガは断熱性を持つ鋼鉄のコンテナに収納されているため、高温を数時間あるいは数日間にもわたって維持できる。閉じ込めた熱を使う時が来たら、ファンでレンガに風を吹き込む。レンガの溝を通過する空気の温度は、最大で1000 °Cに達する。

最終的に作り出された熱がどのように使われるかは各商用プロセス次第だが、おそらくは多くの施設が水を高圧蒸気に変換するために使用することになるだろうとオドネルCEOは …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中! ひと月あたり1,000円で読み放題
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
気候テック企業15 2023

MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する、あるいは地球温暖化の脅威に対処できる可能性が高い有望な「気候テック企業」の年次リストである。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る