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バイオハックで老化を克服、
イーサリアム開発者が夢見る
理想郷「ズザル」のビジョン
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Enthusiasts want to create a new independent state to develop longevity drugs. They’re eyeing Rhode Island.

バイオハックで老化を克服、
イーサリアム開発者が夢見る
理想郷「ズザル」のビジョン

モンテネグロに期間限定で出現した街を一時的な拠点とし、老化を遅らせたり逆転させたりするためのバイオハックや医薬品開発の規制緩和を奨励する法域を作る計画が討論された。 by Jessica Hamzelou2023.06.05

5月初旬のある金曜日の朝、私はアドリア海沿岸の小さな湾の岩に打ちつける波の音で目が覚めた。

鉛色の空が広がり、雷鳴が絶え間なく鳴り響いている。モンテネグロに到着して以来、悪天続きだ。私の乗った飛行機のパイロットは、あまりの荒天に飛行機をモンテネグロに着陸させられず、結局、隣国のクロアチアに降り立つことになった。

私の目的は、バイオテクノロジーを駆使して人間の寿命を延ばすことに興味があり、長寿に高い関心を示す人々の集まりに参加することだ。国境を越えるタクシーで相乗りすることになったある参加者は、荷物の半分は「サプリメントと粉末」だと教えてくれた。ほとんどの参加者が「長寿」のステッカーを貼っているようだ。皆とてもフレンドリーで、楽観的な感じが伝わってくる。私が話しかけた人は皆、老化を遅らせるか逆転させる方法が見つかると確信している。そして、進歩を加速させるための大胆な計画を持っている。

ズザルにようこそ

人類は何千年もの間、若返りの泉を探し求めてきた。しかし、その進歩は遅々たるものだ。多くの企業が老化を遅らせたり逆転させたりする方法に取り組んでいる。だが、ある治療法が人々の寿命を延ばしたかどうかを調べる研究を実施するのは非常に困難で費用もかかる。また、世界保健機関(WHO)のような保健機関は、そもそも老化を病気とみなしていない。

そこで、新たな仕組みづくりを検討するコミュニティができた。独立国家を作る可能性さえ考えている。このコミュニティは、老化は「道徳的に悪」であり、解決すべき問題であると主張する。既存の規制が老化対策の進歩を妨げていると考え、異なるアプローチを求めている。官僚主義の煩雑な手続きを緩和することで、より多くのイノベーションが生まれると言う。人々が望むのであれば、自らの身体を実験台にして実証されていない治療法を試すことを奨励すべきである。そして、企業は医薬品の開発や試験方法を制限する国内法に足を引っ張られるべきではない。

そのような考えを持つ約780人の人々がモンテネグロの「ポップアップシティ」(期間限定で出現した街)に集まり、「未承認の医薬品の自己実験を承認する」という全く新しい法域で、同じ考えを持つイノベーターが協力できるような国家を作るにはどうすべきかを検討した。参加者の中には、通りすがりの観光客もいる。しかし、特に熱心な参加者は、2カ月ほど前からここで生活している。このポップアップシティが「ズザル(Zuzalu)」だ。

私はズザルの話を、長寿テクノロジーに投資している関係者から聞いた。この集まりは、モンテネグロのティヴァトにある高級リゾートで開催され、5月末まで続く。合成生物学から人工知能(AI)に至るまで、毎週異なるテーマが設定されているが、包括的な焦点は、長寿、暗号通貨、新しい法域を作るというアイデアにある。

「ズザルは単なるカンファレンスではありません」と主催者の中心人物の1人であるローレンス・イオンはイベントに集まった聴衆に訴えた。「コリビング(co-living)の実験であり、共通の興味や目的を持つオンライン・コミュニティがリアルで集まるとどうなるのかを探るものです」。ズザルのコンセプトは、暗号通貨イーサリアムの生みの親であるヴィタリック・ブテリンの発案だが、主催者側は共同作業から生まれたものだと強調している。

ズザルという単語には何の意味もない、とブロックチェーン・プラットフォームのギットコイン(Gitcoin)で働く共催者のジャニーン・レジェは言う。この名前は、チャットGPT(ChatGPT)で複数のプロンプト(指示テキスト)を使用して生成された。イベントのロゴもAIが生成した。レジェによると、ブテリンは「その作業に何時間も費やした」という。

お茶を飲みながらレジェとイオンは、ヒエラルキーは最小限に抑えたいと話してくれた。イベントの中心チームのメンバーにはそれぞれ10枚の招待状が与えられ、その招待者にも一定数の招待状が与えられたそうだ。レジェとイオンは誰が招待者リストを作ったのか教えてくれなかったが、他の参加者から、立ち寄ったと噂される有名人、政治家、億万長者の名前を教えてもらった。

一時的な拠点

急勾配の丘陵地帯が続く海岸線の一部にあるこのリゾート自体は、とても小さな町のような感じである。高級ホテルもあるが、数百戸の高級マンションもあり、ズザルの長期滞在者の多くが仮住まいをしている。主催者は2カ月にわたる開催期間に、いくつかのテーマに沿ったカンファレンスを計画した。しかし、ズザルの長期滞在者も自分たちで独自イベントを企画することを奨励されている。

また、毎日冷たい海に飛び込んだり、コミュニティでの朝食会が開催されたりするなど、社交的なアクティビティも充実している。他にも、「ソーシャル実質現実(VR)洗礼+ビートセイバー(Beat Saber、VR対応ゲーム)パーティ」「真実か、挑戦か(Truth or Dare)ゲームナイト」「瞑想会」などのイベントが開催された。私は「ポニーアート・ガーデンパーティ」に参加し損なったことを知り、がっかりした。

私が到着したのは、ズザルの長寿バイオテクノロジー・カンファレンスの開始直前だった。この3日間のイベントには、世界中の大学、スタートアップ企業、長寿 …

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