KADOKAWA Technology Review
×
「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集中!
Job titles of the future: carbon accountant

未来の仕事:企業の排出量を評価する「炭素会計士」とは?

気候変動への対応が企業の重要な課題になったのに伴い、新しい職業が登場した。気候会計士は、「温室効果ガスプロトコル」と呼ばれる基準に基づいて、クライアント企業の気候問題への貢献度合いを評価し、開示する。 by Allison Arieff2023.10.30

ビリー・シェルバの正式な職名は、規制報告ソリューション担当副社長だ。だが実際には、シェルバは「炭素会計士」だ。気候管理プラットフォームのパーセフォニ(Persefoni)で企業を相手に、気候変動に関する貢献度合いを評価・管理し、開示している。

炭素会計士は、企業がカーボン・フットプリントに関してどんなデータが重要か、そのデータをどうやって一貫した形で収集するのか、そのデータをどのように使って自社が排出している温室効果ガスの量を計算するのかを支援する。 多くの場合、顧客と協力して、彼らのデータインフラ改善に取り組むことになる。顧客の事業において、どの部分が温室効果ガス排出の最も大きな要因になっているかを把握しやすくするためだ。

Billy Scherba
COURTESY PHOTO

成長分野

比較的新しい職業である炭素会計士は、企業から多様なデータを収集し、一貫した評価手法を用いてそのデータを二酸化炭素排出のフットプリントへと置き換える。計算は、飛行機での出張、公共料金のキロワット時、製品の輸送に使用した燃料の種類、さらには財務データなど、具体的な企業活動に基づく。より粒度の細かいデータを収集して分析することで、計算はより正確なものになる。

方法論

炭素会計には、世界資源研究所(World Resources Institute)と持続可能な開発のための経済人会議(World Business Council for Sustainable Development)が開発した「温室効果ガスプロトコル(GHGP)」が主な手法として使われている。GHGPは無料で一般公開されている。他にも専門化した炭素会計基準は存在するが、米国証券取引委員会(US Securities and Exchange Commission)、欧州連合(EU)、日本をはじめとした国や地域の規制当局がGHGPを裁定に取り入れており、二酸化炭素排出量を公開する企業にとって一般的な会計手法となっている。

評価・報告・脱炭素化

ビジネスリーダーたちは、気候に対して良い影響と悪い影響を最も大きく与えているのが自社の活動のどの部分なのかを明確にし、把握するためのデータを必要としている。「良いデータはビジネスの原動力や社会的価値として活用すべきです」とシェルバは話す。「我々がコントロールを効かせ、データの信頼性を確実なものにすることで、気候に関するより良い意思決定に活用する機会が生まれます」 。

11月1日5時00分更新:社名の誤字を修正しました。訂正してお詫びいたします。

人気の記事ランキング
  1. AI can make you more creative—but it has limits 生成AIは人間の創造性を高めるか? 新研究で限界が明らかに
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2024 「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集のお知らせ
  3. A new weather prediction model from Google combines AI with traditional physics グーグルが気象予測で新モデル、機械学習と物理学を統合
  4. How to fix a Windows PC affected by the global outage 世界規模のウィンドウズPCトラブル、IT部門「最悪の週末」に
  5. The next generation of mRNA vaccines is on its way 日本で承認された新世代mRNAワクチン、従来とどう違うのか?
allison.arieff [Allison Arieff]米国版
現在編集中です。
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る