KADOKAWA Technology Review
×
サンゴ礁を絶滅の危機から救え、冷凍保存に取り組む研究者たち
Smithsonian's National Zoo and Conservation Biology Institute
気候変動/エネルギー 無料会員限定
The race is on to save coral reefs—by freezing them

サンゴ礁を絶滅の危機から救え、冷凍保存に取り組む研究者たち

サンゴ礁は生態系として、2035年までには機能的に絶滅すると予想されている。サンゴの精子、幼生、成体の凍結保存の取り組みは、急速に消滅しているサンゴ礁を救うための頼みの綱である。 by Allison Guy2024.01.05

温かい海水のせいでカリブ海をはじめとする世界中の海域にサンゴ礁の墓場が生まれる中、ある科学者たちのチームは大急ぎでサンゴを冷やそうとしている。それも、ずっと低い温度——マイナス200℃でだ。

スミソニアン保全生物学研究所(Smithsonian Conservation Biology Institute)の生物学者メアリー・ハーゲドルン博士らが中心となって活動しているコーラル・バイオバンク・アライアンス(Coral Biobank Alliance)は、地球上に生息する約1000種の造礁サンゴを凍結保存するか、または他の方法で飼育下に置いて保存することを目指している。サンゴ礁は生態系として、2035年までには機能的に絶滅すると予想されている。ハーゲドルン博士は、熱に強いサンゴの繁殖など、現在の保護活動を支援するだけでなく、海洋大量絶滅の可能性が徐々に高まっているサンゴ礁を再生するために、十分な量のサンゴの精子、幼生、成体ポリプを冷凍したい考えだ。だが、この計画にはこれまで大きな工学的ハードルが立ちはだかってきた。

凍結保存を成功させる上で最大のハードルは、おそらく氷である。「氷は結晶です」と、テキサスA&M大学の熱力学者、マシュー・パウエル=パーム助教授は言う。「私たちは、サンゴの組織内部の水分をガラス状にしようとしています」。分子レベルのガラスは凝固した液体のようなもので、デリケートな組織を引き裂くことがあるギザギザの結晶は存在しないと同助教授は説明する。氷が形成されるのを回避するため、標本はガラス化を促進する凍結保護溶液に浸され、その後急速に冷却される。サンゴと共生する藻類には別のプロセスが必要だ。また、オーストラリアやインドネシアのような遠隔地のフィールド・ステーションでは技術的能力が限られていることを考慮して、必要 …

サンゴ礁は生態系として、2035年までには機能的に絶滅すると予想されている。サンゴの精子、幼生、成体の凍結保存の取り組みは、急速に消滅しているサンゴ礁を救うための頼みの綱である。
こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
気候テック企業15 2023

MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する、あるいは地球温暖化の脅威に対処できる可能性が高い有望な「気候テック企業」の年次リストである。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る