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世界的「選挙イヤー」2024年の選挙に影響を与える3大トレンド
Sarah Rogers/MITTR | Getty
Three technology trends shaping 2024's elections

世界的「選挙イヤー」2024年の選挙に影響を与える3大トレンド

今年の最大の話題は、米国と世界中で実施される選挙だろう。その選挙に深く関わる3つのテクノロジー・トレンドを紹介しよう。 by Tate Ryan-Mosley2024.01.31

この記事は米国版ニュースレターを一部再編集したものです。

1月15日のアイオワ州党員集会で、2024年の大統領選挙が正式にスタートした。 前にも話したが、もう一度言おう。今年最大の話題になるのは、米国および世界中で実施される選挙だろう。 40カ国以上で国政選挙が予定されており、2024年は歴史上最も重要な選挙の年となる。

過去15年以上にわたり、テクノロジーは選挙運動や政治的言説において大きな役割を果たしてきた。候補者や政党は長い間、ビッグデータを使って有権者に関する情報を得たり、ターゲットを絞ったりしようとしてきた。しかし、過去から得られる洞察で現在の状況を理解するには、限界がある。テクノロジーとビジネス、情報、メディアが交わる場所で、状況は信じられないほど急速に変化している。

そこで今回は、完全に把握しておくべき選挙における最も重要な3つのテクノロジー・トレンドを紹介したい。

生成AI

おそらく驚きはしないだろうが、3つのトレンドのうちトップを飾るのは、生成AI(ジェネレーティブAI)だ。間違いなく、テキストや画像を生成する人工知能(AI)は、政治的な誤情報を急増させるだろう。 

それがどのような形で現れるかは、まだはっきりとは分からない。国際NGO団体のフリーダム・ハウス(Freedom House)が最近発表した報告書に関する記事で私が書いたとおりだ。「例えば、ベネズエラの国営放送局は、AIが生成した存在しない国際英語テレビ・チャンネルのニュースキャスターを通じて、政府寄りのメッセージを広めている。それらのニュースキャスターは、カスタム・ディープフェイクを制作するシンセシア(Synthesi)によって作られたものだ。また米国では、AIによって操作された政治リーダーたちの動画や画像が、ソーシャルメディア上に出回った」。

中には、バイデン大統領がトランスジェンダーを嫌う発言をしているかのように操作された動画や、ドナルド・トランプが(あれほど攻撃していた元大統領首席医療顧問の)アンソニー・ファウチとハグしているフェイク画像などもある。このようなものによって、有権者が選択を変えたり、そもそも投票する気がなくなったりする可能性があることは、想像に難くない。アルゼンチンの大統領候補が2023年の選挙戦でどのようにAIを使ったか、見てみるとよい。

生成AIは、選挙運動で偽情報を広めるだけではないだろう。思いもよらない方法でテクノロジーが使われる場面もあるかもしれない。例えば、超現実的な自動音声通話プログラムなどだ。昨年12月、ペンシルベニア州の民主党議会選挙候補者シャメイン・ダニエルズは、より多くの有権者に直接リーチするため、AI選挙運動ボランティア「アシュリー」を自身の選挙運動で使うと発表した。そしてちょうど1月第四週、新しいスーパーPAC(政治資金管理団体)が「ディーン・ボット(Dean.Bot)」を立ち上げた。バイデン大統領の民主党対立候補ディーン・フィリップスを模倣したAIチャット・ボットである。

政治的マイクロインフルエンサー

マイクロインフルエンサー(フォロワー数は極端に多くはないものの、地域レベルで影響力を持つ可能性の高い人々)が、政治運動の新たな特徴になりつつある。

政治的メッセージにインフルエンサーを使うこと自体は、新しいことではない。マイケル・ブルームバーグは、長続きしなかった前回の米大統領選での選挙運動で、大物インフルエンサーに自分のためのミームを作り出してもらうという遊びをした。ミネアポリス市は、地元のインフルエンサーにお金を払い、抗議活動中の人々に平和的な行動を促すことを計画した。また、バイデン政権は、インフルエンサーを使って新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のワクチン接種を推奨した

しかし、私がこの数カ月間に話を聞いた研究者たちによれば、2024年の米大統領選は、マイクロインフルエンサーが広く利用される最初の選挙になるだろうという。マイクロインフルエンサーは通常、政治に関する投稿をしないが、ある特定の人口統計で主に構成される、エンゲージメントの高い固有の小規模なオーディエンス層を構築している。例えば、ウィスコンシン州で昨年実施された州最高裁判事選挙での記録的な投票率は、そのようなマイクロインフルエンサー選挙運動が貢献した可能性がある。この戦略によって、ある特定グループの人々からすでに信頼を得ているメッセージ発信者を通じ、それらの人々に選挙運動メッセージを届けられる。インフルエンサーは投稿によって金銭を受け取るだけでなく、オーディエンスとプラットフォームを理解することにも選挙運動が役立つ。 

この新たなメッセージング戦略は、法的に少しグレーなゾーンで運用されているようだ。現在のところ、インフルエンサーが有料で投稿や間接的な宣伝(選挙運動イベントへ行くことに関する投稿をしたが、その投稿自体は金銭の提供を受けていない場合など)をした場合、それをどのように開示する必要があるかということについて明確なルールがない。連邦選挙管理委員会が作成したガイダンス案はあり、いくつかの団体がそのガイダンスの採用を求めている

米国でこのトレンドが進んでいるという話は、私が取材した情報源のほとんどで聞かれたが、同じことが他の国でも起こっている。ワイアード誌が11月に、インドの選挙におけるインフルエンサーの影響について素晴らしい記事を掲載している

デジタル検閲

政治関係者たちによる言論弾圧はもちろん目新しいものではないが、そのような活動が増加傾向にあり、精度と頻度が高まっているのは、テクノロジーを利用した監視や、ネット上でのターゲティング、国家によるネット分野の管理の結果である。フリーダム・ハウスが発表した最新のインターネットの自由に関する報告書によれば、検閲に生成AIが活用されるようになっており、また、権威主義政府によるインターネット・インフラの支配も強化されているという。インターネットのブラックアウト(一時的なアクセスの遮断)も増加している。

その一例を、フィナンシャル・タイムズ紙が最近報じた。現在のトルコ政権は3月の選挙を前に、インターネット・サービス・プロバイダーにプライベート・ネットワークへのアクセスを制限するように指示することで、インターネット検閲を強化しているという。

さらに広い意味では、デジタル検閲は重要な人権問題や、未来の戦争における中核的な武器になるだろう。例えば、イランが2022年の抗議デモ中に実行した極端な検閲や、エチオピアで続いているインターネット・ブラックアウトにその例を見ることができる。

今年は一年を通じて、この3つのテクノロジー分野から目を離さないことをお勧めする。私も目を光らせておく。

今週の注目記事

  • CNBCのヘイデン・フィールドによるこの素晴らしい記事によれば、オープンAI(OpenAI)は自社AIツールの軍事利用禁止を解除した。この動きは、オープンAIが米国防総省とAIに関する協力を開始したことに伴うものだ。 
  • 1月第四週は世界経済フォーラムが開催され、多くの世界的な著名人たちがダボスに集まっている。キャット・ザクシェフスキーによれば、ダボスでの話題の中心はAIの安全性だという。私は、ザクシェフスキーがワシントンポスト紙のために書いた、テクノロジー政策に関する懸念に焦点を当てた内幕記事をとても楽しく読んだ。 
  • インディアナ大学ブルーミントン校の研究者たちが、オープンAIやその他の企業の大規模言語モデルが、いくつかの悪意あるWebサイトやサービスに搭載され、マルウェアやフィッシング・メールの生成などに利用されていることを発見した。テック・ポリシー・プレスに掲載されたプリスヴィ・アイヤーによるこの記事は、実に洞察に富んでいる!

最近の学び

グーグルのディープマインド(DeepMind)が、AIにとって歴史的に難しかった分野である幾何学が得意なAIシステムを作り出した。私の同僚ジューン・キムが、「アルファジオメトリー(AlphaGeometry)」と呼ばれるこの新しいシステムについて記事を書いた。記事によれば、このシステムは「言語モデルと、記号エンジンと呼ばれるAIの一種を組み合わせ、記号と論理ルールを使って推論」するという。キムはこのシステムについて「より人間に近い推論能力を持つ機械に向けた重要な一歩」だと述べている。

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テイト・ライアン・モズリー [Tate Ryan-Mosley]米国版 テック政策担当上級記者
新しいテクノロジーが政治機構、人権、世界の民主主義国家の健全性に与える影響について取材するほか、ポッドキャストやデータ・ジャーナリズムのプロジェクトにも多く参加している。記者になる以前は、MITテクノロジーレビューの研究員としてニュース・ルームで特別調査プロジェクトを担当した。 前職は大企業の新興技術戦略に関するコンサルタント。2012年には、ケロッグ国際問題研究所のフェローとして、紛争と戦後復興を専門に研究していた。
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