KADOKAWA Technology Review
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Toyota's Human-Machine Collaboration Makes Roads Much Safer

人間と機械の共同作業で安全性が飛躍的に高まることを証明する式

人間と機械の共同作業で安全性が飛躍的に高まることを証明する式がある。人間か機械か、完全自律型の自動運転車はいつ実現するか?といった議論より、安全性を本気で考えるとどうなるか、トヨタの戦略がよく現れている。 by 菅田 美月2017.03.31

大手自動車メーカーは、自動運転関連のテクノロジーの開発やコンセプト作りに取り組む姿勢を誇示している。ダイムラーが開発中の安全運転支援システム「ドライブパイロット」(新型Eクラスに搭載)は、現時点で最も自動運転に近いシステムといわれている。

ドライブパイロットには大きな特徴が3つある。まず「ディスタンスパイロット・ディストロニック」により、ブレーキとハンドル操作なしで、自動停車する。また「アクティブレーンチェンジングアシスト」により、ドライバーがウィンカーを2秒以上点滅させると、自動的に車線を変更する。さらに「ステアリングパイロット」により、工事用のパイロンに接近すると、自動的に警告を表示し、ハンドル操作なしに回避する。ダイムラーは、ドライバーがほぼ操作せずに済む自動運転テクノロジーを提供し、自動車の安全性を高める考えなのだ。

トヨタの考え方は違うようだ。トヨタの研究者は、完全自律型の自動車と異なり、従来型の自動車に簡単に搭載可能な守護天使(ガーディアン・エンジェル)ソフトウェアが、自動車の安全性を高めると考えている(「トヨタの自動運転「守護天使」の概念はどこが優れているのか?」参照)。車外のセンサーで車両周辺の状況を確認し、車内のカメラでドライバーの様子を読み取る。守護天使は、状況に応じ、危険な状況をドライバーに気付かせることもあるが、放っておく場合もある。トヨタ研究所(TRI、2015年にロボット工学と自動運転を研究するために設立されたトヨタの子会社、“Toyota’s Billion Dollar Bet”参照)のライアン・ユースティス副社長(自律運転担当)は「交差点を直進する場合を考えてみましょう。真横から衝突されそうなとき、自動車が取るべき行動は、事故を避けるためドライバーにアクセルをふませることです」という。

多くのメーカーが自動運転テクノロジーの開発を進めているが、真の自律自動車が利用されるのは、各社が自動運転車の投入を表明している2021年よりさらに数年以上先だと考えられている。トヨタは完全自律運転車が普及する前段階として、ソフトウェアと人間のドライバーの両方が道路上の危険を察知する方がシンプルかつ簡単であり、現段階では重要だと考えているのだ。

ダイムラーのドライブパイロットはドライバーの操作がほぼ不要な自動運転機能だ。仮に、安全率を99%だとしよう。トヨタの守護天使はドライバーの行動をサポートする機能だ。こちらも安全率を99%だとしよう。自動運転に対する両社の考えの違いは、機能の違いを比較するだけでなく、人間と機械の関係にまで踏み込んだほうが、検討しやすい。ここで、人間のドライバーの安全率も99%だとしよう。自動車任せにすれば安全率は99%だが、人間のドライバーも運転に関わり続けるなら、安全率は99%×99%=99.99%になる。AIという人間とは異なる知性が運転を担えるまでに成長する。であれば、機械任せにするのではなく、人知の及ばない観点からも安全性を担わせ、人間と機械のどちらもが安全性に責任を持つ方が、システム全体の安全性は飛躍的に高まる。

完全自律運転が実現すれば、免許証を返納しても自分の自動車を利用できるなど、高齢化が進む日本社会には多大なメリットがある。一方、ハンドルを握り、自動車を操作することによるドライブの楽しさはなくなる。その点で、守護天使ソフトウェアは、安全性を飛躍的に高めながら、車で走ることの楽しさも両立させている。人間の行為を代替する存在か、あくまで人間をサポートする存在か、という二項対立ではなく、人間と自動車が共同で安全を担うことで、一方だけでは達成できない安全性を実現できる考え方だ。完全自律型の自動運転に求められる安全性が極めて高くなることで、トヨタには自社のテクノロジーに磨きをかける時間まで稼げる、完璧な戦略ともいえるだろう。

(関連記事:ITproオートックワン産経WEST、「トヨタの自動運転「守護天使」の概念はどこが優れているのか?」、NewSphere

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ベトナムにて、現地繊維製造会社のマーケティングリサーチを経験。その後、コンサルティング会社にて市場調査を中心としたインターンシップに従事。
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