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Why the Senate’s Vote to Throw Out Privacy Laws for ISPs Isn’t All Bad

プライバシー保護の基本法がないアメリカの闇

アメリカにはプライバシー保護の基本的法制度がなく、グーグルやフェイスブックはやりたい放題の状態にある。オバマ政権下のFCCが策定したISP向けのプライバシー保護規則は、規制対象が狭すぎてISPに一方的に不利、という意味ではオバマ政権が目指した公平な競争環境の創出とは異なっている。 by Jamie Condliffe and Mike Orcutt2017.03.28

米連邦議会上院は、インターネット・サービス事業者(ISP)によるユーザーデータの取り扱いを規制するプライバシー保護規則の撤廃を決議した。しかしこの決定は、考えられているよりは少し公平かもしれない。

オバマ政権下の米国連邦通信委員会(FCC)が昨年導入したプライバシー保護規則は、ISPが機微な個人情報を利用したり共有したりする前に、ユーザーから明示的同意(オプトイン)を得ることを義務付けていた。

共和党政権はオバマ政権時代のさまざまな規制を廃止しようとしており、投票により、発効前のプライバシー保護規則(ブロードバンド時代の競争条件を公平にしようとした)が50対48で撤廃されるのは予想通りの結果だ。

しかしこの結果は、多くの懸念を引き起こしている。プライバシー保護の推進派は、上院が消費者を見捨ててISPに味方した、と非難している。一方、FCCのアジト・パイ新委員長のように、過剰規制の反対派は、こうした規制をISPに課すのは不公平だと考える。いずれにしても、グーグルやフェイスブック等のシリコンバレー企業は現在、好きなようにユーザーのデータを使っている。

両者の主張は、それぞれある程度は正しい。実際、米国にはオンライン・プライバシーを規制する法制度がない。ワシントンポスト紙は、撤廃が決まった規則を「画期的」と評している。もし機微な個人情報の共有前にユーザーによる明示的同意が義務付けられれば、インターネット上のプライバシー保護水準は上がっただろうという。だが最大の欠点は、画期的規制の適用対象がISPだけだったことだ。

米国民がいつでもどこでも監視されているとの懸念は、全く妥当だ。Webサイトを閲覧したり、機器を利用したり、さらには店で買い物をしたりするときでさえ、米国民は否応なしにいつも追跡されている。確かに、もしFCCの新プライバシー保護規則が発効していれば、目覚ましい成果を上げたかもしれない。しかしそれでも、問題のごく一部を解決するに過ぎなかった。フェイスブックやグーグル等の企業は野放しのまま、同様のことを自由にやり続けたに違いない。

いずれにしても、FCCが規則を完全に撤廃するには、さらに下院を通過してトランプ大統領の署名を得る必要がある。もし撤廃された場合、将来もっと一貫したプライバシー対策が実施されることを願うしかない。

(関連記事:Reuters, “消費者のプライバシー保護を 諦めるな、と米FTC委員長,” “FCC委員長指名で、トランプ政権の通信政策は大企業有利が確実,” “トランプ政権がFCCの規制撤廃で通信事業者の土管化を阻止”)

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