KADOKAWA Technology Review
×
無料の会員登録で、記事閲覧数が増えます
米政府、ジカ熱対策にDNAワクチンの大規模試験へ
生命の再定義 U.S. Government Moves Forward with Tests of Novel Zika Vaccine

米政府、ジカ熱対策にDNAワクチンの大規模試験へ

ウイルスのDNAをワクチンとして接種するDNAワクチンについて、米政府はジカ熱対策として大規模試験を実施することになった。マラリアやピーナッツアレルギー、一部のがんに効果のあるDNAワクチンも開発中だ。 by Emily Mullin2017.04.04

A healthy patient receives an investigational DNA vaccine developed by government researchers via a needle-free injection.
政府の研究者が開発した研究段階のDNAワクチンを無針注射器で接種する健康な患者

米国政府は、政府が開発したジカ熱ワクチンについて、昨年夏に実施した安全性試験の結果に成果が見られたため、幅広い試験を実施すると発表した。

米国政府が開発した「DNAワクチン」は、ウイルスの遺伝子を利用して免疫反応を作り出す。昨年8月、マイアミでジカ熱の感染が広がったとき、米国政府のDNAワクチンが初めてボランティアに投与された。

DNAワクチンを開発した米国国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウシ所長によると、DNAワクチンの新たな試験は米国内11カ所で実施され、最大5000人の健康な成人が参加する予定だという。試験はまず、今週水曜日にベイラー医科大学(ヒューストン)で始まる。

ファウシ所長は先週金曜日に電話で記者に話し、政府のDNAワクチンをボランティア40人に投与した最初の結果から、このDNAワクチンがジカ熱に対する免疫反応を生み出したこと、重度な副作用が生じないとわかった、と述べた。

ワクチン接種
  1. 企業は、さまざまな感染症やがん治療に効果のある新型DNAワクチンを開発している。
  2. アステラス製薬 サイトメガロウイルス
  3. ジェーンワン・ライフ・サイエンス インフルエンザ、C型肝炎
  4. ジオバックス・ラボ HIV
  5. イコル・メディカル・システム HIV、マラリア、乳がん、黒色腫
  6. イノビオ医薬品 中東呼吸器症候群(MERS)、エボラ、ジカ熱
  7. マディソン・ワクチン 前立腺がん
  8. ビラル ヘルペス

ジカ熱がラテンアメリカで広まり、アメリカに伝わった昨年夏以降、ジカ熱の脅威は弱まっている。しかし、ジカ熱は再発する恐れがあるとファウシ所長は警告した。蚊を媒介とするジカ熱に感染した人は普通、軽い症状を示すだけだが、妊娠中に感染すると、胎児に重度の先天性障害が起きる。

試験に使われるワクチンは、他のDNAワクチン同様、ウイルスの遺伝物質を含んでいる。DNAワクチンを筋肉に注射すると、ワクチンに含まれるウイルスによって免疫反応が備わり、ウイルスに対する身体の抵抗力が増す。

DNAワクチンの魅力は、新たな脅威に対抗するために素早く設計可能なこと、従来のワクチンと比べて製造が簡単なことだ。米国国立衛生研究所(NIH)は以前、西ナイル熱のウイルスに効果があるDNAワクチンを開発していたが、ワクチンは市販されなかった。

アステラス製薬やイノビオ医薬品、ジオバックス(GeoVax)等の企業がDNAワクチンを開発しており、マラリアやピーナッツアレルギー、一部のがんに効果のある製品を目指している。しかし、現在までに市販されたDNAワクチンはない。

ファウシ所長によると、米国政府が開発したDNAワクチンがジカ熱感染に効果があるか明らかにするために、プエルトリコやブラジル、ペルー、コスタリカ、パナマ、メキシコ等、ジカ熱感染が依然として発生している地域まで、いずれは試験の実施地域を拡大する予定だという。

人気の記事ランキング
  1. First Evidence That Night Owls Have Bigger Social Networks than Early Risers 社交的な夜型、孤独な朝型——行動パターンに明らかな違い
  2. Google Reveals Blueprint for Quantum Supremacy グーグルが量子超越性の実現にめど、数カ月内に実証も
  3. Forget Killer Robots—Bias Is the Real AI Danger グーグルが指摘する、イーロン・マスクが語らないAIの本当の脅威
  4. Put Humans at the Center of AI グーグルへ転じた スタンフォード研究者が語る 次世代AIに必要なこと
  5. Is AI Riding a One-Trick Pony? 人工知能バブル 3度目の冬はやってくるのか
タグ
クレジット Images courtesy of NIAID
エミリー マリン [Emily Mullin]米国版
MIT Technology Reviewの医学生物学副担当編集者(ワシントンD.C.駐在)です。取材したいのは、医学生物学と医療分野のイノベーションが、私たちの健康や日常生活をどう変化させるかです(いくらかかるのかも)。他に興味があるのは、こうした進歩のうち、世界の健康面の平等にどれがどのくらい影響を与えるかです。以前はフォーブス誌で契約ライターをしていた他、FierceBiotechで編集者のアシスタントをしていました。何かあればメールで連絡してください。
「生命の再定義」の記事
人気の記事ランキング
  1. First Evidence That Night Owls Have Bigger Social Networks than Early Risers 社交的な夜型、孤独な朝型——行動パターンに明らかな違い
  2. Google Reveals Blueprint for Quantum Supremacy グーグルが量子超越性の実現にめど、数カ月内に実証も
  3. Forget Killer Robots—Bias Is the Real AI Danger グーグルが指摘する、イーロン・マスクが語らないAIの本当の脅威
  4. Put Humans at the Center of AI グーグルへ転じた スタンフォード研究者が語る 次世代AIに必要なこと
  5. Is AI Riding a One-Trick Pony? 人工知能バブル 3度目の冬はやってくるのか
ザ・デイリー重要なテクノロジーとイノベーションのニュースを平日毎日お届けします。
公式アカウント