「身体は神である」
不死に取り憑かれた大富豪、
新しい宗教をつくる
ネットフリックスの「Don’t Die」でも知られる長寿インフルエンサーのブライアン・ジョンソンは、新しい宗教を立ち上げようとしている。「死なないこと」を使命とする大富豪は何を目指しているのか。本人に話を聞いた。 by Jessica Hamzelou2025.05.09
- この記事の3つのポイント
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- ブライアン・ジョンソンは老化防止に取り組む億万長者だ
- ジョンソンはAIの脅威に対抗するため新宗教を創始しようとしている
- 既存の宗教とも共存できる非中央集権型の枠組みを構想している
ブライアン・ジョンソンは、死なないことを使命としている。この47歳の億万長者は、すでに「Don’t Die(死ぬな)」というスローガンを、イベントや商品、そしてネットフリックスのドキュメンタリー番組で使っている。そして今、ジョンソンは「Don’t Die教」を創始しようとしている。
ジョンソンは、老化プロセスを遅らせたり逆行させたりするために考案されたスキャン、検査、サプリメント、生活習慣に、何百万ドルも費やしていることで広く知られている。幅広いメディアで取り上げられ、ソーシャルメディアで大勢のフォロワーを抱えている。多くの人々にとって、ジョンソンは長寿分野の顔となっているのだ。
4月下旬に米国カリフォルニア州バークレーで開催された長寿に関心を持つ人々のためのイベントで、私はジョンソンと同席した。私たちは昼食(私はプラスチックのふた付き容器に入った会議食、ジョンソンはプラスチックを使わない堆肥化可能な箱に入ったチキンと野菜のようなもの)をとった後、イベントとは別に話をした。ジョンソンは申し分のない姿勢で座り、淡々とした表情をしていた。
その日の朝、履き古したスウェットパンツに、一見したところほぼ間違いなく高価なパーカーを着たジョンソンは、聴衆に対し人類の終焉について語った。ジョンソンは特に、人工知能(AI)について心配していた。私たちは「事象の地平線」、つまり、超知性を備えたAIが人間の理解と制御から逃れる地点に直面しているのだという。ジョンソンは、長寿に関心を持つ人々に対し、AIへの取り組みに注力するよう説得するために来たのだ。
ジョンソンの持つこの特別な懸念こそが、Don’t Die教の使命を根底で支えているものである。まず、人類はDon’t Dieのイデオロギーを受け入れる必要がある。その上でAIを、人間の存在を維持する価値観と一致させなければならない。ジョンソンは、もしAIがなかったら、自分は死に抗うための活動や養生法のどれもやっていなかっただろうと話す。「私たちは今、1つの種として、存亡に関わる瞬間にいると確信しています」と、モルモン教で育ったが現在は脱会しているジョンソンは言う。老化の問題を解決するには数十年かかる。AIを人類の存続と一致させられる場合にのみ、私たちはそこまで長く生き延びることができるのだ——。
以下のインタビューは、発言の趣旨を明確にし、長さを調整するため、若干の編集を加えたものだ。
◇
——なぜ新しい宗教を創ろうとしているのですか?
私たちはAIの進歩によって新たな段階に入り、人間であることの意味を考え直そうとしています。それには、想像力と創造性、そしてオープンな …
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