本誌のニュース担当記者が最近ハマっていること(ショートコラム)
MITテクノロジーレビュー[米国版]のニュース担当記者であるリアノン・ウィリアムズ記者は最近、3つのことに夢中になっている。 by Rhiannon Williams2025.07.06
1. 最後の良質なインスタ・アカウント
ソーシャルメディアが“悪い空気”をまき散らしているのは、もはや常識だと言っていい。ただ、ありがたいことに、2016年にアカウントが作られて以来、今でも当時と同じように鋭く、おもしろく、辛辣なインスタグラム・アカウントがまだ1つ存在している。「エブリ・アウトフィット(Every Outfit)(@everyoutfitonsatc)」というアカウントだ。
もともと『セックス・アンド・ザ・シティ(Sex and the City)』の象徴的なファッションへのオマージュとして始まったエブリ・アウトフィットは、その後より広範な文化批評へと発展し、同名のポッドキャストを生み出した。私はランニング中にこのポッドキャストを聞くのが好きだ。セックス・アンド・ザ・シティは終わったかもしれないが、エブリ・アウトフィットは永遠である。
2. 『Glorious Exploits(栄光ある偉業)』(フェルディア・レノン著)
フェルディア・レノンの『Glorious Exploits(栄光ある偉業)』(未邦訳)は、腹を抱えて笑えると同時に深く心を打つという、まれに見る両立を成し遂げた書籍だ。これは並大抵のことではない。古代シチリアを舞台に、失業中の陶工・ランポとゲロンが、シラクサ郊外の採石場に囚われた敗北したアテナイ兵士たちをキャストにしてギリシア悲劇の『メディア(Medea)』を上演するという壮大な計画の物語を描いている。
古代の背景と、登場人物たちの現代アイルランド風の会話(作者はダブリン出身)が組み合わさり、これまでにない独創的な作品に仕上がっている。あまりに野心的で、これがレノンのデビュー小説だとは信じられない。完全に魅了される作品。
3. 人物デッサン
インターネット上に最近氾濫しているAI生成アートの憂鬱な波は、私にその正反対を探求し、昔ながらの方法でアートを作ることを促した。大学時代の美術の先生は、人体の正確なプロポーションを学ぶ最良の方法は、実際に人を描くことだと常に言っていたので、私はロンドンの自宅近くの教室に通い始めた。鉛筆と紙が、私の好んで使う表現手段だ。
目の前の対象を自分の芸術的スタイルで解釈するのに数時間を費やすというのは本当に充実した体験で、さらに完全にスクリーンから解放されるという利点もある。心からおすすめしたい。
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- リアノン・ウィリアムズ [Rhiannon Williams]米国版 ニュース担当記者
- 米国版ニュースレター「ザ・ダウンロード(The Download)」の執筆を担当。MITテクノロジーレビュー入社以前は、英国「i (アイ)」紙のテクノロジー特派員、テレグラフ紙のテクノロジー担当記者を務めた。2021年には英国ジャーナリズム賞の最終選考に残ったほか、専門家としてBBCにも定期的に出演している。