気候テック10:試験炉を建設中、溶融塩原子炉のカイロス・パワー
太陽光発電や風力発電に逆風が吹く中、原子力発電は依然としてゼロカーボン技術として有望視されている。カイロスが建設中の溶融塩で冷却する小型モジュール原子炉は、より安価で安全な発電を実現する最初の原子炉となる可能性がある。 by Mark Harris2025.10.15
- この記事の3つのポイント
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- カイロスが溶融塩冷却と特殊燃料を使う小型モジュール炉の商用許可を取得し実証炉を建設中
- AI需要増でデータセンター電力消費が急増する中24時間稼働可能な脱炭素電力源として期待
- ロシア産ウラン供給断絶や輸送容器未整備など燃料調達と物流面での課題も山積
カイロスが2025年の気候テック企業のリストに選ばれたのは、核分裂から電力を生成する小型モジュール炉のより安全な設計によるものである。同社は反応を冷却し熱を伝達するために、既存の核分裂炉で使われている高圧水ではなく、溶融塩を使用している。同社は迅速かつ慎重に進めており、フッ素、リチウム、ベリリウムの混合物であるこの特殊な冷却材をどのように最適にポンプで送るかを探るため、一連の非核プロトタイプを計画していた。
この反復プロセスは現在も続いており、カイロスの第3テストユニット用の非核原子炉容器が、テネシー州の歴史あるオークリッジ核施設に最近設置された。このユニットは冷却材の取り扱いと同社の革新的な燃料をテストする。英国と米国エネルギー省(DOE)が開発したこの燃料は、ゴルフボール大のペブル(小石)で、一連の炭素とセラミックの殻の中に小さなウランの種を包装したものである。DOEは、オークリッジ核施設でカイロスが建設中の「ヘルメス(Hermes)」と呼ばれる原子炉の建設を支援するために、最大3億300万ドルを拠出することを約束している。
カイロスは最終的に、燃料と特殊冷却材の組み合わせにより、天然ガス発電所と競争力のあるコストで、完全な電力喪失の場合でも従来の原子炉より安全な運転を誇る商用原子炉を実現できると考えている。
基本データ
潜在的なインパクト
太陽光と風力プロジェクトへの米国連邦資金が大幅に削減される中、原子力発電は依然として超党派の政治的支持を集 …
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