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「科学版バイブコーディング」、オープンAIが論文執筆ツール
Stephanie Arnett/MIT Technology Review | Adobe Stock
OpenAI's latest product lets you vibe code science

「科学版バイブコーディング」、オープンAIが論文執筆ツール

オープンAIが科学論文執筆ツール「Prism(プリズム)」を発表した。LaTeXエディターにChatGPTを組み込み、プログラマーがコーディングにAIを使うように、科学者が論文執筆にAIを活用できる。文献要約、引用管理、数式生成などを支援する。 by Will Douglas Heaven2026.01.28

この記事の3つのポイント
  1. オープンAIが科学論文執筆用テキストエディターにChatGPTを組み込んだ無料ツール「Prism」を発表した
  2. 世界で約130万人の科学者が毎週800万件以上のクエリをChatGPTに送信し、科学研究での活用が拡大している
  3. オープンAIはAIによる画期的発見よりも段階的進歩の積み重ねを強調するが、科学界の粗悪なAI利用への懸念も存在
summarized by Claude 3

オープンAI(OpenAI)は、同社の新しい社内チームである「オープンAI・フォー・サイエンス(OpenAI for Science)」が取り組んでいた内容を明らかにした。発表されたのは、「Prism(プリズム)」という科学者向けの無料ツール。これは、科学論文の執筆用テキストエディターにChatGPT(チャットGPT)を組み込んだものである。

このアイデアは、チャットボットが人気のあるプログラミング用エディターに組み込まれているのと同様に、科学者が研究成果を執筆するためのソフトウェアの中心にChatGPTを据えるというものである。いわば「科学におけるバイブコーディング」と言える。

オープンAI・フォー・サイエンスの責任者であるケビン・ワイル副社長は、この比喩を自ら使っている。「2026年は科学にとって、2025年がソフトウェア・エンジニアリングにとってそうだったような年になると思います」。ワイル副社長は記者説明会でこう語った。「同じような変化を目の当たりにしています」。

オープンAIによれば、世界中で約130万人の科学者が、科学や数学の高度なトピックについて、毎週800万件以上のクエリをChatGPTに送信しているという。「これは、AIが科学者にとって、好奇心の対象から中核的なワークフローへと移行しつつあることを示しています」とワイル副社長は述べた。

Prismは、こうしたユーザー行動への対応であると同時に、競合のチャットボットが乱立する市場において、より多くの科学者をオープンAIの製品に取り込もうとする試みとも捉えられる。

「私は主にコードを書くためにGPT-5を使っています」。こう話すのは、米フォックス・チェイスがんセンターの生物学教授のローランド・ダンブラックである(同教授はオープンAIとは無関係)。「時々、LLMに科学的な質問をすることもあります。基本的には、自分よりも速く文献から情報を見つけてくれることを期待してのことです。以前は参考文献で幻覚(ハルシネーション)を起こすことがありましたが、今ではあまりそういうことはないようです」。

カリフォルニア大学バークレー校の統計学者、ニキータ・ジヴォトフスキーは、GPT-5がすでに自身の研究において重要なツールになっていると語る。「論文の文章を磨いたり、数学的な誤記やバグを見つけたり、全体的に有用なフィードバックを提供してくれます。研究論文の迅速な要約に非常に役立ち、科学文献とのやり取りがよりスムーズになります」。

チャットボットと日常的なソフトウェアを統合するという点で、Prismは、ChatGPTをWebブラウザーに組み込んだオープンAIの「Atlas(アトラス)」や、マイクロソフトやグーグル・ディープマインドによるLLM搭載オフィスツールといった製品が牽引するトレンドに従っている。

Prismは、同社の最新かつ最高の数理・科学問題解決モデルであるGPT-5.2を、科学者が科学論文のフォーマットに使う一般的なマークアップ言語であるLaTeX(ラテフ)の文書作成用エディターに組み込んでいる。

ChatGPTのチャットボックスは、執筆中の論文表示の下、画面の下部に配置されている。科学者は、テキストの下書き、関連文献の要約、引用管理、ホワイトボードの走り書きの画像からの数式や図表の生成、仮説や数学的証明の検討など、あらゆることをChatGPTに頼ることができる。

Prismが大幅な時間節約につながる可能性は明らかだ。同時に、多くの人が失望する可能性も否定できない。特に、GPT-5が数学問題の解決に優れているとの内容が、同社の研究者たちによって数週間にわたりソーシャルメディアで盛んに語られていたことを考えると、科学界がすでに粗悪なAIであふれている中、これがその状況をさらに悪化させるのではないか、という懸念もある。オープンAIの「完全に自動化されたAI科学者」はどこにあるのか? GPT-5はいつになったら驚異的な新発見をするのか?

「それが使命ではありません」とワイル副社長は語る。彼は、GPT-5が画期的な発見をすることを望んでいるが、少なくとも短期的には、それが科学に最大のインパクトを与えるとは考えていない。

「より強力に、しかも100%の確率で、AIが科学に貢献する1万件の進歩があるはずです。おそらくそれらは、AIがなければ起こらなかったか、これほど早くは実現しなかったでしょう。そしてAIはその一翼を担うことになるはずです」。ワイル副社長は先週のMITテクノロジーレビューとの独占インタビューで語った。「それは華々しい成果として現れるのではなく、段階的な進歩が積み重なっていく形で現れるでしょう」。

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ウィル・ダグラス・ヘブン [Will Douglas Heaven]米国版 AI担当上級編集者
AI担当上級編集者として、新研究や新トレンド、その背後にいる人々を取材。前職では、テクノロジーと政治に関するBBCのWebサイト「フューチャー・ナウ(Future Now)」の創刊編集長、ニュー・サイエンティスト(New Scientist)誌のテクノロジー統括編集長を務めた。インペリアル・カレッジ・ロンドンでコンピューターサイエンスの博士号を取得しており、ロボット制御についての知識を持つ。
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