アレクサ、実験を手伝ってくれ
米国で人気のAIアシスタント「アレクサ」の仕事に、「実験のお手伝い」が加わりそうだ。科学者は、本来の設計意図とは異なる方法で商用テクノロジーを利用し、研究の効率化を図っている。 by Jamie Condliffe2017.07.06
アレクサ、滴定の次の手順は?
朝一番にスマート・アシスタントにこんな質問をする人はあまりいないだろう。だが科学者たちはほどなく、アマゾンの AIアシスタント「アレクサ」にこうした問いを投げかけるようになるかもしれない。ケミカル・エンジニアリング・ニュースが報じたところによると、微生物学者を妻に持つソフトウェア開発者ジェイムズ・ロードスが作り上げたスキル(アレクサで動作するアプリのこと)「ヘリックス(Helix)」は、研究室での実験に手を貸してくれるという。
考えてみれば理にかなった話だ。料理で手がふさがっている時に、アレクサに頼んでニュースの見出しを調べたり、音楽を流したり、タイマーをかけるたりする人がほとんどなのだから、科学者も実験で手が空いていない時にアレクサに融点を調べさせたり、簡単な計算をさせたり、実験手順書を読み上げさせたりすることができるはずだ。
ロードスの妻の研究室でテストした後、夫婦は米国化学会の会合でヘリックスについて発表した。出席者からは歓声が上がったという。
消費者向けのテクノロジーが科学者たちに暖かく受け入れられるのは、アレクサが初めてではない。マイクロソフトのキネクト(Kinect)の3Dカメラテクノロジーのハッキングや、 携帯電話に埋め込まれたセンサーの転用、 さらに実質現実(VR)をデータ視覚化のためにハイジャックするといった例まで、研究者たちによる既製品ハードウェアのよりニッチな分野への利用は良き伝統となっている。商用テクノロジーを使えばより低いコストで目的を果たせるし、以前は専用ハードウェアにしかできなかったことが、最近ではガジェットでも可能になってきている。
今のところ、ヘリックスはまだ概念実証の段階だ。 それでも初期バージョンを試用してみたければ、ここでサインアップできる。さらにロードスはヘリックスの機能の拡張も計画している。もしかしたら、アマゾンで商品を注文するように、ラボの備品を注文できるようになるかもしれない。アレクサが実験結果を論文にしてくれないのは残念だが、いずれはそれも可能になるかもしれない。
(関連記事:Chemical & Engineering News, “Physicists Build Laser Tweezers Controlled with Kinect,” “A Cell-Phone Microscope for Disease Detection”)
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- ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
- MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。