KADOKAWA Technology Review
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世界の海運大手が注目する「自律貨物船」のビッグウェーブ
知性を宿す機械 Shipping Giants Are Looking to Self-Piloting Boats to Shift Cargo

世界の海運大手が注目する「自律貨物船」のビッグウェーブ

商船三井や日本郵船などの海運大手と造船会社が自律船の共同開発を発表した。海運業界でも自動化へ向けた本格的な動きが始まっている。 by Jamie Condliffe2017.06.14

ウーバーが買収した自動18輪トレーラーのことはもう忘れよう。この先、ロボットに重い荷物を運ばせたいなら、検討の価値があるのは自律航行の貨物船かもしれない。

ここ数年、多くの企業が控えめな自律艇を製造してきたが、本番はこれからだ。以前エコノミスト紙が指摘したように、 全自動のロボット貨物船は有人の貨物船より速く、安全で、そして結局のところは安価なのかもしれない。この指摘は明らかに、世界的な海運大手のいくつかの企業の関心を否応なく引きつけている。

日経アジアン・レビューは、日本の造船、海運会社による企業コンソーシアムが、自動で航路を決定できる新型船舶の技術を共同開発していると報じた。船舶に搭載した人工知能がセンサーや気象条件、海上の運行状況などのデータをもとに、最も安全性が高く効率的な航路を絶え間なく検討・策定する、というのがその構想だ。コンソーシアムはこのテクノロジーに数億ドルの資金を投じる見込みで、2025年を目処に船舶への実装に向けた準備を整えたいとしている。

一方、今後10年間に何百万トンという鉄鉱石や銅、石炭を世界中に輸送するため、世界の2大採掘企業であるBHPビリトンとリオ・ティントの両社が自律船の導入に関心を示している、とブルームバーグは報じている。自動操舵船への移行により、鉄鉱石市場だけで年間860億ドルものコスト削減が見込まれている。

もう少し野心的なのが、ノルウェーの化学肥料メーカー、ヤラ(Yara)だ。ヤラは最近、世界初の電気自律貨物船のテスト航行を開始すると発表した。ポースグランの製造工場から海岸沿いにブレヴィク港、ラルヴィク港へと向かうテスト航行を2018年に実施する。当初は通常通り乗組員を乗せた状態からテストを始めるが、2019年までに遠隔操作で航行し、結果次第では2020年以降は完全な自律航行に切り替える。

こうした計画は、昨年、英国のエンジニアリング企業ロールス・ロイスがまとめたビジョンの一部を実現化しようとしている。長期的にロールス・ロイスは、乗組員を1人も乗せない貨物船が航行する未来を描いていて、完全な無人貨物船は2035年までに実用化されるだろうと、想定している。しかし、乗用車の自動運転が段階的に進歩しているのと同様に、船舶も自律航行などの機能を少しずつ獲得していくことになるだろう。自律航行技術の普及は、どうやら海運業界が望むほど速くは進められないようだ。

(関連記事:日経アジアン・レビューブルームバーグ, 「ロボット船団、出航準備中 貨物船にスマホ型革命」)

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クレジットPhoto by Axel Ahoi | Unsplash
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
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