KADOKAWA Technology Review
×
中国に登場した近未来の無人コンビニ
Thoka Maer
ニュース Insider Online限定
In China, a Store of the Future—No Checkout, No Staff

中国に登場した近未来の無人コンビニ

米国ではアマゾンが大手スーパーを傘下に収める中、中国ではレジもなければ店員もいない24時間営業の移動型店舗がオープンした。進化した無人販売は仕事を奪うのか、それとも買い物難民を救うのか。 by Yiting Sun2017.06.19

先週のある日の午後8時、軽食をとれる場所もない暗闇に包まれた合肥学院大学のキャンパスで、コンピューター科学を専攻する学生ウェイ・リーは未来の小売業の姿を垣間見た。

キャンパスの大広場に停まっていたのは、バスのような形をした1台の車両だった。外観はガラス張りになっていて、中に赤い箱が詰め込まれた棚があるのが見える。

入口に立ったリーは、アイフォーンを使ってQRコードを読み取った。するとガラスの扉が開き、レジもなければ店員もいないその店へと足を踏み入れた。

そこでは、穏やかな表情をたたえたホログラムの人物の顔がリーを出迎えた。音声はなく、顔を動かすだけの挨拶だ。リーはまず、店の品揃えに驚いた。果物やポテトチップ、コーヒー、雑誌、スニーカーまでが販売されている。購入の手軽さも気に入った。銀行カードと紐付けされたスマートフォン用アプリを使い、それぞれの商品のパッケージに付けられたバーコードを読み取るだけでいい。出口に近づくと扉が自動的に開き、リーは店を後にした。

この店は、ストックホルムに本社を置き、クラウドファンディングで資金を集めたスタートアップ企業、ウィリーズ(Wheelys)が立ち上げたモビー・ストア(Moby Store)だ。もともとは、自転車付き移動式カフェの製造を主な事業としてきたウィリーズだが、現在、テクノロジーを活用した24時間店舗の試験営業を実施している。

モビー・ストアが試験営業している場所は、上海から約450キロメートル西に位置する合肥学院大学の構内だ。ウィリーズは同大学の教授らと共同で、モビー・ストアのコアテクノロジーに関する研究に取り組んでいる。

リーはその研究には関わっていないが、友人とキャンパスを歩いている時に車両を見かけ、試しに使ってみることにした。「授業が終わった直後は人の往来がかなり激しいですから」と、複数の利用者が同時に買い物をする際の処理や、万引きを防ぐ仕組みについて興味を持ったようだ。

ウーバーやエア …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. OpenAI says ChatGPT treats us all the same (most of the time) 相手の名前で回答が変わる?チャットGPTに潜むバイアス明らかに
  2.  A data bottleneck is holding AI science  back, says new Nobel winner ノーベル受賞者・ベイカー教授が指摘する「AI科学」の課題
  3. Trajectory of U35 Innovators: Hiroki Matsunaga 松永浩貴:「枠を超えた発想」が生み出す革新的なロケット推進剤
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者は11月発表予定です。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る