KADOKAWA Technology Review
×
Innovators Under 35 Japan 2026 候補者募集開始!
「目をつけられたら終わり」
アンチ科学政権下で萎縮する
米国の生物学者たち
Getty
カバーストーリー 無料会員限定
Under Trump, Biologists Seek a Low Profile for Controversial Research

「目をつけられたら終わり」
アンチ科学政権下で萎縮する
米国の生物学者たち

遺伝子編集などの分野で、最近の生物学は目覚ましい進歩を遂げている。しかし、科学顧問の長期不在に象徴される「アンチ科学」のトランプ政権下で誤った関心を引くと、研究に制限をかけられかねないと研究者たちは恐れている。 by Emily Mullin2017.11.14

物議を醸しだしかねない最先端技術の研究に携わる生物学者たちは、最近の科学の進歩がドナルド・トランプ大統領の関心を引いたらどうなるのか恐れていると口々に語る。

トランプ大統領は今のところ、幹細胞、人間の胚細胞、遺伝子編集といった研究に関して公に発言していない。しかし研究者たちは、いつ大統領が扇動的なツイートを発したり、研究に制限をかける政策を発表したりしないかと身構えている。トランプ政権が誕生してから10カ月、その間にもデリケートな技術は大きく進歩し、研究者はリスクがますます高まっていると懸念する。

今年だけでも、米国の研究者は、正常に機能する人工子宮、 クリスパー(CRISPR)を用いたヒト胚細胞の遺伝子異常の修正、合成胚細胞の製造における目覚しい前進、そして3人の親のDNAを使った体外受精など多くの成果をあげている。

「大統領は、今のところ私たちに注意を払っていませんが、もし気づかれれば面倒なことになるでしょう」。ピッツバーグ大学の幹細胞研究者ジェラルド・シャッテン博士は、10月にニューヨークのプラザホテルで開催された学会で、30カ国130人の不妊治療専門家を前にしてそう語った。

研究者たちは、何かひとつでも新たな進歩があれば、トランプ政権による研究の規制措置を招くのではと恐れている。ジョージ・W・ブッシュ元大統領も、2001年に幹細胞研究への連邦予算に規制をかけていた。

「前例があります」と語るのは、非営利の科学支援団体・憂慮する科学者同盟(Union of Concerned Scientists)の科学と民主主義センター(Center for Science and Democracy)で研究責任者を務めるグレッチェン・ゴールドマン博士だ。「研究が政治的な物議を醸しだす可能性があることを認識している研究者たちから、懸念が寄せられています」。

最悪のケース

科学者をさらに不安にさせているのは、最先端の生物学に関するトランプ大統領の考えが不明な点だ。トランプ・ツイッター・アーカイブを見ると、これまで3万件以上のツイートを発している大統領だが、DNAや幹細胞、遺伝子編集に関してはまだ一度も触れたことがない。

一方、議会もまた2015年6月以降、そうしたテクノロジーに関する公聴会を開いていない。

「これらの話題に関してトランプ大統領はそれほど強い信念を持っていないようですが、こうした研究の行方について快く思っていない人々を政 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. It’s time to address the looming crisis in entry-level work. 「コーディングを学べ」もう通用せず、AIが若者の雇用を奪い始めた
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2026 「Innovators Under 35 Japan」2026年度候補者募集のお知らせ
  3. Anthropic’s Code with Claude showed off coding’s future—whether you like it or not 「Claudeに任せてしまおう」 たった1年で激変したソフトウェア開発
▼Promotion
社会実装都市「ひろしま」の魅力に迫る ローカル ✕ イノベーション
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る