現実の「間」にバーチャル物体を表示、ARが現実に近づく新技術
大手テック企業やスタートアップが現在販売している拡張現実(AR)ディスプレイはいずれも、現実の風景の前に、バーチャルな画像を重ね合わせる仕組みになっている。オプティカル・サイエンシズ大学のホン・フア教授たちは、バーチャルな物体を現実の物体の前や後ろに配置できるAR用ディスプレイを開発した。 by Rachel Metz2017.12.07
現実世界では、ある物体が他の物体を遮っているのを見ることは常々ある。この種のオクルージョン(遮蔽)は、いくつかのものが空間内のどこに配置されているかについての素晴らしい手がかりを私たちの目と脳に提供し、目の前にあるものが実際にそこに存在すると信じ込ませる手助けになる。これはまた、バーチャルな物体を現実の物体のなかに混ぜ込もうとする拡張現実(AR)において、現実感を達成する際の最大の課題の1つでもある。
過去数年でAR技術は格段に改善してきた。理由の1つとして、マイクロソフト、アップル、グーグルのような巨大テック企業が、より優れたAR体験を作るのに役立つ開発者向けツールに投資してきたことがある。しかし、視覚的な面が改善されている一方で、現在試せる体験は、デジタルの物体をせいぜい他の物体の前に置く程度だ。
アリゾナ大学を母体とするオプティカル・サイエンシズ大学(College of Optical Sciences)の研究者たちは、この課題を解決しようとしている。彼らが考案したARディスプレイのプロトタイプが映し出すバーチャルな画像は、画像の物体の後ろにある現実世界の物体を遮るだけでなく、その前にある現実の物体によって遮られもするのだ。
最近発表された研究論文の共著者であるオプティカル・サイエンシズ大学のホン・フア教授は、このディ …
- 人気の記事ランキング
-
- Inside the tedious effort to tally AI’s energy appetite 動画生成は別次元、思ったより深刻だったAIの電力問題
- Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2025 「Innovators Under 35 Japan」2025年度候補者募集のお知らせ
- What’s next for AI and math 数学オリンピックで「人間超え」のAIは数学者になれるか?
- IBM aims to build the world’s first large-scale, error-corrected quantum computer by 2028 IBM、世界初の大規模誤り訂正量子コンピューター 28年実現へ
- What is vibe coding, exactly? バイブコーディングとは何か? AIに「委ねる」プログラミング新手法