KADOKAWA Technology Review
×
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
3Dプリンターで製造された驚きの製品5つ
Grant Cornett
The Five Most Amazing Things That Were 3-D-Printed This Year

3Dプリンターで製造された驚きの製品5つ

3Dプリンターはニッチなプロトタイプの製造から本格的な大量生産へとめざましい進歩を遂げている。製造業の未来にヒントを与える5つの製品を紹介する。 by Erin Winick2018.02.20

付加製造(AM:Additive Manufacturing)は何年にもわたって過大評価されてきた。だが、2017年には多くの見込まれていたことが実現した。3Dプリントは、ニッチなプロトタイプ製造の領域から大量生産の領域へと何歩も大きく踏み出したのだ。2017年に3Dプリンターで製造された最も印象的なものを振り返り、製造されたものが未来の何の前兆かもあわせて見ていくことにしよう。

ランニング・シューズ

Adidas

付加製造を手がけるカーボン(Carbon=2017年版スマート・カンパニー50の1つ)との提携で、アディダスは従来の90倍速く3Dプリントで靴を製造できる技術を導入した実験店「スピードファクトリー」をオープンした。カーボンの高速プリント・テクノロジーは、カスタム・アスレチック・シューズのエラストマー(人工ゴム)を使ったミッドソール(運動靴内の柔らかく、衝撃吸収力性を持たせる部分)を製造するために使われている。2018年にアトランタでスピードファクトリーの2号店がオープンする際には、アディダスはこの手法を用いて、1年に100万足の運動靴を製造する予定だ。

メガネ、ベベルギヤ(まがりばかさ歯車)、MITのシンボル「グレート・ドーム」のミニチュア・レプリカ

MIT

実際のところ、これらの安っぽいプラスチック片は特に印象的なものではないかもしれない。だが、作成スピードは驚嘆に値する。マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者は、高速でプリントできる新しい機械で製品を製造している。この機械が動いている動画を見ると、早回しをしているに違いないと思うだろう。何時間もかかって作っていた製品を、今では数分で作れるのだ。研究チームは、発熱レーザーと高圧ネジ機構を使うこの機械の詳細を、2017年11月に学会誌『アディティブ・マニュファクチャリング(Additive Manufacturing)』で発表した。

ジェット・エンジン燃焼器ライナー

GE

2017年11月、ゼネラル・エレクトリック(GE)は、最新の金属製3Dプリンターとともに、そのプリンターで製造したジェット・エンジン燃焼器ライナー部品を公開した。この3Dプリンターは、多くの金属製プリンターと同様に、レーザーを用いて粉末を固体の金属へと変える。だが、従来の設計で足かせとなっていた製造物の大きさの限界を乗りこえることを目標としている。ジェット・エンジン燃焼器ライナーは、直径1メートルまでの金属部品をプリントできるこの機械の能力を示すものだ。3Dプリントを将来のビジネスの原動力と位置付けるGEにとって、2018年にデビューするこのプリンターはその中心的役割を果たすことになる。2017年12月、GEは天然ガス・タービンの発電効率の新記録を達成するのに、3Dプリンターで製造した金属部品を使用した。

より強い鋼

Lawrence Livermore National Laboratory

3Dプリントで製造された鋼には、長らくある問題がつきまとってきた。延性(物体が破壊されずに引き伸ばされる性質)を持たせるために、強度を犠牲にしなければならないのだ。だが、2017年、ローレンス・リバモア国立研究所のチームが、通常のレーザー焼結プリンターを使って金属結晶粒組織をコントロールする方法を生み出した。この方法によって、普通のステンレス鋼と同様の延性を持ちながら、ステンレス鋼の2倍、従来の3Dプリントされた鋼の3倍の強度を持つ部品を作り出せるようになった。

短時間でつくられた金属パーツ

GRANT CORNETT

2017年4月のMITテクノロジーレビューの記事で、金属部品をプリントする速度を100倍にするデスクトップ・メタル(Desktop Metal)の革命的な機械について報じた。従来の手法では製造が不可能だった上の画像のような油圧マニホールドは、プリント後に部品を仕上げるために1400℃まで熱せられた電子炉の中で処理される。大量生産される製品に使われる部品を次々と生産できるこのプリンターは、2018年の出荷を予定している。

人気の記事ランキング
  1. A new US phone network for Christians aims to block porn and gender-related content ポルノもLGBTも遮断、キリスト教徒向けMVNOが米国で登場
  2. Musk v. Altman week 1: Elon Musk says he was duped, warns AI could kill us all, and admits that xAI distills OpenAI’s models 「オープンAIを蒸留した」マスク対アルトマン第1週、法廷がざわめく
  3. Will fusion power get cheap? Don’t count on it. 核融合は本当に安くなるのか? 楽観論に「待った」をかける新研究
エリン・ウィニック [Erin Winick]米国版 准編集者
MITテクノロジーレビューの宇宙担当記者。機械工学のバックグラウンドがあり、宇宙探査を実現するテクノロジー、特に宇宙基盤の製造技術に関心があります。宇宙への新しい入り口となる米国版ニュースレター「ジ・エアロック(The Airlock)」も発行しています。以前はMITテクノロジーレビューで「仕事の未来(The Future of Work)」を担当する准編集者でした。それ以前はフリーランスのサイエンス・ライターとして働き、3Dプリント企業であるSci Chicを起業しました。英エコノミスト誌でのインターン経験もあります。
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
AI革命の真実 誇大宣伝の先にあるもの

AIは人間の知能を再現する。AIは病気を根絶する。AIは人類史上、最大にして最も重要な発明だ——。こうした言葉を、あなたも何度となく耳にしてきたはずだ。しかし、その多くは、おそらく真実ではない。現在地を見極め、AIが本当に可能にするものは何かを問い、次に進むべき道を探る。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る