KADOKAWA Technology Review
×
遺伝子回路設計の自動化を目指す、MIT発のスタートアップ
Illustration by David S. Goodsell
ニュース Insider Online限定
Biologists would love to program cells as if they were computer chips

遺伝子回路設計の自動化を目指す、MIT発のスタートアップ

MIT発のスタートアップ企業が、微生物内で医薬品や化学物質を作り出すための「遺伝子回路」を設計するソフトウェアを開発した。電子回路設計ソフトウェアをモデルにしており、数年かかった作業を数週間に短縮できるという。 by Monique Brouillette2018.03.08

マサチューセッツ工科大学(MIT)キャンパスのはずれにあるスタートアップ・ラボ用のスペース。椅子に腰掛けたアレック・ニールセン博士は、ノートパソコンを開いてキーボードから命令を打ち込む。遺伝子組み換えされた酵母細胞が黄色く光るようにするのだ。ニールセン博士は、酵母細胞に与える糖(アラビノースとラクトース)の種類をコンピューター・プログラムに入力して、通常クラゲの体で見つかる蛍光タンパク質を作りだすように指示する。

およそ60秒もするとコンピューターは、DNAの約1万1000文字のリストを、回路図のようなものと一緒に出力する。

ニールセン博士はアシモフ(Asimov)というスタートアップ企業の創業者であり、CEO(最高経営責任者)である。アシモフは極めて複雑な遺伝子組み換えの設計を自動化することを目指している。アシモフの「セロ(CELLO)」と呼ばれるソフトウェアは、電子回路や何十億ものトランジスターを組み込んだコンピューター・チップの設計に使われるソフトウェアをモデルとして作られた。

生物学の研究は、ほとんどを実験が占める。試してみるまで何がうまくいくかわからない。だが、アシモフは、遺伝子組み換え有機体を作り出す際に、あてずっぽうをいくらかでもなくせると考えている。「私たちは数年前に、この非常に複雑な問題をコンピューターのプログラミングと同じくらいシンプルにしようと決めたのです」 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中! ひと月あたり1,000円で読み放題
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
気候テック企業15 2023

MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する、あるいは地球温暖化の脅威に対処できる可能性が高い有望な「気候テック企業」の年次リストである。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る