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Goodbye, census—hello, Street View

巨大な研究用データセットとしてのストリート・ビューの価値

ケンブリッジ大学の研究チームがこのほど、ストリート・ビューの画像を活用して交通手段を調査した。登場から10年が経ったストリート・ビューは今後、さまざまな研究や政策立案に使える可能性がある。 by Emerging Technology from the arXiv2018.03.07

グーグル・ストリート・ビュー(Google Street View)は、世界中の道路上からの風景を膨大な数のパノラマ写真として提供している。多くの先進国のあらゆる場所を網羅しており、ストリートビューの登場は人々が目的地にたどり着くための経路探索の方法をすっかり変えてしまった。

だが、ストリート・ビューには21世紀の社会を写した視覚データ情報としてのさらなる使い道があるかもしれない。2017年には、ある研究者がストリート・ビューの画像を利用し、米国の広範囲にわたる各都市の人口構成を分析した。

現在、英国のケンブリッジ大学のラフル・ゴール研究員率いるチームが、ストリート・ビューの画像を利用して英国の各交通機関の利用状況分析を試みている。研究チームによると、ストリート・ビューの画像を使う方法では、広範囲に渡る交通機関の利用状況、交通政策の変化の影響、人々の運動習慣さえも比較的短期間で把握できるという。

方法はかなり単純なものだ。研究チームは英国各地の34都市から無作為に1000カ所を抽出し、2011年ごろからのグーグル・ストリート・ビューがとらえた各地のパノラマ画像をダウンロードした。そして人手を使って歩行者、自転車、オートバイ、車の数を数えた。自転車に乗っているのが男性か女性かという点も記録した。

同時に研究チームは、2001年以降の英国の国勢調査と、2005年から英国で始まったスポーツ実施率調査のデータも集めた。2つの調査では、地域ごとの人口分布、一般的な通勤手段、歩行や自転車で移動す …

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