犬に学ぶ人工知能、ワシントン大学チームが開発
人工知能が学ぶ対象は人間でなければならないわけではない。ワシントン大学の研究チームは、犬の行動データを使って訓練したAIシステムを構築した。将来的には、さまざまな動物の行動を理解するために活用できそうだ。 by Emerging Technology from the arXiv2018.05.17
犬の飼い主なら誰しも、四本足の友が高い知能の持ち主であると証言できる。実際、視力障害者の誘導や行方不明者の捜索、麻薬や密売品の嗅ぎ分けなど、重要な任務をこなしている犬は多い。
この種の能力は最強クラスの人工知能(AI)さえ敵わない。そして、AIシステムの能力を高めるための訓練に、犬の能力を利用したAI研究者はまだいない。
ワシントン大学の博士課程生、キアナ・エサニら研究チームのおかげで、現在その状況は変化している。研究チームは、犬の行動に関するユニークなデータ・セットを収集し、犬のように意思決定ができるようにAIシステムを訓練するために利用した。研究チームの手法は、地球上の他の知的存在の能力を研究する、AI研究の新しい分野を切り開くものだ。
研究チームは、最初に犬の行動データベースを構築した。一匹の犬の足、尻尾、胴体に慣性計測装置を取り付け、各部位の相対角度や犬の絶対位置を記録した。
さらに犬の頭部にゴープロ(GoPro)カメラを取り付けて毎秒5フレームの速度でサンプリングして犬の視界を記録し、犬の背中にマイクを取り付けて音を録音した。データは犬の背中に取り付けたボード・コンピューター、アルデュイーノ(Arduino)で記録した。
研究チームは、全部でおよそ2万4500の動画フレームと、それに同期した胴体の位置データおよび動 …
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