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Siri for Business

ビジネス向けSiri型
人工知能サービス

アップルのSiriやマイクロソフトのコルタナが注目される一方で、ビジネスパーソン向けのAIを搭載したアシスタントやソフトウェアがあり、人気を獲得している。 by Elizabeth Woyke2016.03.29

クラララボ

製品説明:「バーチャル社員」がメールで会議のスケジュールを設定する。ユーザーが会議のリクエストのコピーをクララに送ると、クララは参加者にメールを送信する。クララは、それぞれのユーザーの指定した希望の時間を元に会議の時間を設定する。詳細が決定すると参加者にカレンダー招待を送る。費用は月額199~499ドル。チーム向けの別途料金もある。より高額なバージョンのクララはユーザーの代わりにビジネス会議用にOpenTableやRSVP経由でレストランを予約できる。現在、StripeやHouzz、AngelListなど多くの企業で採用されている。

ターゲット顧客:会議に参加することがある人。

仕組み:機械学習と自然言語処理を使ってユーザーのメールの意図を理解し、単純な内容なら自動的に返信し、複雑な内容の場合は回答を予測する。メッセージはアルゴリズムによって生成されるが複雑なシチュエーションの場合は担当の人間が介入する。


デジタルジーニアス

製品説明:カスタマーサービス自動化プラットフォーム。デジタルジーニアスは「この車種に緑はありますか?」などの基本的な質問には、ソーシャルメディア、メール、あるいはライブチャットを介して会話のように返答する。「この車は扱っている中で一番エコフレンドリーな車種ですか?」など、より複雑な質問には、「はい、この車種は電気自動車で再生可能な原材料を使用しています」などの知的情報で質問者を補助する。法人顧客は自動化と使用レベルによって設定された金額を毎月支払う。現在ユニリーバなど、フォーチュン1000の数社で採用されている。

ターゲット顧客:金融サービス業、航空業界、その他の業界の大規模コールセンター。

仕組み:深層学習や機械学習、自然言語処理、ニューラルネットワークを使用。法人顧客から得たカスタマーサービス関連のチャットの記録、メールの記録、フェイスブックやツイッターのメッセージをアルゴリズムにかける。このプロセスにより顧客向けのカスタマーサービスソフトウェアを開発できる。


ハウディー

製品説明:「チャットボット」などの標準型のソフトウェアインターフェイスを使ってSlack(人気の企業向けメッセージアプリ)上の繰り返し作業を自動化する。一般的な活用法としては、作業の進捗情報やグループ内の昼食のオーダーの収集などがある。チャットでチームの意見をボットが集計し各メンバーに報告書を配信する。またユーザーはどのような質問でも書式化してハウディーにプログラムできる。アカウントのアクティベート後、ボットがチャットメッセージで質問してくる。ベータ期間中は無料だが、その後月額制に以降する。

ターゲット顧客:毎日のプロセスの自動化と情報を整理する必要のある20人までのチーム。

仕組み:機械学習と自然言語処理。自然言語処理でユーザーの(Slackメッセージの)リクエストを理解し、(あらかじめ用意された)正しいテキストで応答する。さらに機械学習でシステムが自己教育・改善する。


カシスト

製品説明:金融業界ではカシストをパーソナルアシスタントとして自社のモバイルアプリに組み込み、顧客満足度の向上に役立てている。1000以上の銀行業務関連の問い合わせに答えられ、会話の音声とテキストのコマンド両方を理解できる。顧客は残高を照会したり、消費パターンを把握、取引履歴を検索、送金、最寄りのATMを探したりできる。年間利用料制で料金は使用量に基づく。カシストはアップルのSiriテクノロジーを開発した研究所SRIインターナショナルの子会社だが、両システムは独立している。

ターゲット顧客:小売り業と商業銀行、資産運用業、クレジットカード会社。

仕組み:人工知能分析、多層ニューラルネットワークによる機械学習、音声認識。自然言語処理でユーザーの意図を素早く特定し、人工知能分析で顧客が最も効率良く目標を達成できるよう補助する。


ミーカン

製品説明:Slackに日常的な英語でコマンドをタイプするだけでスケジュールロボットがチームの会議を設定する。「7月4日以前にお昼頃の会議がしたい」などのフレーズを理解し、社員の予定を分析し最適な日時を提示する。また、航空チケットの比較エンジンSkyscannerを通して旅券の予約にも対応している。また、搭乗地から目的地までの最短フライト、格安の直行便、一番早い到着時刻なども表示してくれる。現在は無料で提供されているが、将来大企業の法人顧客は利用料を請求される可能性がある。AOLやナイキなど、3100社で採用されている。

ターゲット顧客:Slackを利用中の企業。

仕組み:自動言語処理でユーザーのメッセージから意図を推察し、会議の背景とユーザーの希望する形態を予想する。機械学習でユーザーの好みを識別する。人工知能で出席者にとってどの会議時間が最適か時差帯も考慮して指定する。


x.ai

製品説明:エイミーと名付けられた知的エージェント(好みでアンドリューとも呼べる)がメールで会議を設定する。機能的には上記のクララと似ており(クララより人的介入が少ない)、エイミーにより毎月何万もの会議が設定されている。リンクドイン、スポッティファイ、ウーバーの社員も使っている。サービスはまだクローズドベータ段階だが将来の価格はクララより低く設定される予定だ。月額約9ドルで制限なしの会議設定やアシスタントの名前とメールアドレスを自由に設定できる。会議の設定数に上限のある無料版もある。

ターゲット顧客:会議に参加することがある人。

仕組み:自然言語処理で受信メールを分析する。この分析で、関係者、時間、場所、送信者の意図などを理解し、知的エージェントが理解できるフォーマットにデータが変換される。深層学習で受信メールの意図と会議への関連性を判断する。

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エリザベス ウォイキ [Elizabeth Woyke]米国版 ビジネス担当編集者
ナネット・バーンズと一緒にMIT Technology Reviewのビジネスレポートの管理、執筆、編集をしています。ビジネス分野ではさまざまな動きがありますが、特に関心があるのは無線通信とIoT、革新的なスタートアップとそのマネタイズ戦略、製造業の将来です。 アジア版タイム誌からキャリアを重ねて、ビジネスウィーク誌とフォーブス誌にも在籍していました。最近では、共著でオライリーメディアから日雇い労働市場に関するeブックを出したり、単著でも『スマートフォン産業の解剖』を2014年に執筆しました。
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