宇宙の加速膨張対策に地球外文明の証拠探しを——米物理学者が提案
宇宙の膨張速度が加速しているという発見は、私たちに様々な興味深い考察を提供する。米国のフェルミ国立加速器研究所の素粒子物理学者は、遥かに高度な文明を持つ種族が存在すれば、宇宙の膨張加速による影響を軽減するために何らかの対策をしているはずであり、その対策の証拠を地球の天文学者が観測できると考えた。 by Emerging Technology from the arXiv2018.07.12
人類の存在に対する脅威について言えば、緊急性はそれぞれの問題によって異なる。疾病、核戦争、飢饉、小惑星衝突はいずれも、現代の社会に損害を与える可能性が詳しく研究されている。これらの脅威は確かに多くの人々の心に、ある程度の恐怖を植え付けている。
だが、宇宙の膨張の速さが加速していること(宇宙の加速膨張)は、脅威のリストの末尾に近いところに位置している。実際、今までのところ、宇宙の加速膨張が人類にとっての明かな脅威と見なされたことはない。
イリノイ州バタビアにあるフェルミ国立加速器研究所の素粒子物理学者ダン・フーパー博士の研究のおかげで、今、その見方が少なくとも少しは変化している。フーパー博士は、宇宙の地平線の向こうにあるものを私たちが研究したり、それらと通信したり、それらに影響を及ぼしたりすることはできないと指摘する。宇宙の地平線とは、そこから発した光が宇宙の年齢以内に地球に届く最大距離となる曲面のことである。
宇宙の地平線の向こうには、恒星、銀河、さらに文明に至るまで、多くのものが存在するかもしれない。だが、それらの発する光が地球に届くことは決してないため、私たちがそれらと交流したり、見たりすることはできない。
しかし、宇宙の地平線は変化している。フーパー博士は、天文学者が局部銀河群と呼ぶ私たちの近傍の宇宙に対し、宇宙の地平線がどのような影響を及ぼすかを考察した。局部銀河群は、重力によって天の川銀河に束縛されている約50個の近隣の銀河の集まりだ。これらの銀河の数々は、今後1兆年以内のいずれかの時点で衝突し、1つの超銀河団を形成するとされている。
したがって、局部銀河群は、当面の間、人類の住み家になるはずだ。これから数十億年のうちに、人類は局部銀河群をコロニー化し、恒星系から恒星系へと旅をし、旅の途中ではそれぞれの恒星のエネルギーを利用するかもしれない。
ただし、宇宙の加速膨張により、ますます多くの銀河が地平線の向こうへ追いやられている。「その結果として、およそ1000億年後には、局部銀河群の先に存在するすべての恒星が宇宙の地平線の向こうへ追いやられて、観察不能になるだけで …
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