フェイスブック(「メタ」に社名変更)が今後、事業の核にすると発表した3次元バーチャル空間「メタバース」は、技術系エリートが使うばかげたキャッチフレーズのようにも聞こえるが、現実世界をよりよく変える可能性がある。
MITテクノロジーレビューのバックナンバーをめくると、コンピューターの発展の様子が目に浮かぶようだ。人類史上初めて月を周回して地球に戻ってきたアポロ8号、マルチプロセッサー・システム、ウェアラブル・コンピューターの3つの記事から、コンピューティングの発展の歴史を振り返る。
コンピューター分野における多様性の重要性が指摘されているが、その取り組みはあまりうまくいっていない。人種や性別がテクノロジーの発展に与える影響を分析しているデューク大学のニッキー・ワシントン教授が、その理由について語った。
スーパーコンピューターを使って本物の楽器の音の再現を目指す英国の研究プロジェクトは、結果として音楽の新たな可能性を開いた。音楽家たちは現実にはあり得ない楽器を、現実にはあり得ない環境で演奏するようになったのだ。
日本政府のGIGAスクール構想をはじめとするデジタル教育の取り組みでは、子ども一人ひとりに「一人1台」の端末を配布すること自体が注目されがちだ。だが、それがスタート地点に過ぎないことは、15年以上前の有名な事例からも明らかだ。
少しでも確かな情報を基に、感染者数や死者数などについて予測を立てようとしたパンデミックの試みはことごとく失敗した。程度の差こそあれ、この分野のプロである疫学者も失敗を重ねている。問題を分解し、知見を修正しながらより精緻なものにしていく工学的思考が必要なのかもしれない。
選挙結果が自らに有利になるように選挙区の区割りを操作する「ゲリマンダー」が米国で横行している。数学者らは新たなコンピューター・ツールを開発し、アルゴリズムによる客観的な検証を実現しようと取り組んでいる。
人間の脳を「コンピューターのようなもの」とみなすことはできるのだろうか? 長年、論争の種になってきたこの疑問について、複数の専門家に話を聞いた。
ゼロデイ・エクスプロイトを利用した攻撃件数の報告が過去最高を記録した。攻撃者が増加したとの見方もあるが、むしろ良い兆候である可能性がある。
2016年に起こったアイフォーンのハッキング事件の背後にいた米国企業の素性が明らかになった。アラブ首長国連邦(UAE)の諜報部員や米国人の傭兵ハッカーらは、米国企業が開発・販売したハッキング・ツールを使ってターゲットとする人物のアイフォーン を乗っ取っていた。
ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ政権の打倒へ向けて活動しているハッカー集団は、政権内部の関係者の協力も得て、政府の「ほぼすべて」のハッキングに成功したという。
アップルが発表した児童性的虐待画像の検出機能は波紋を呼んでいる。アップルは同社が不正な検閲を実施していないか検証できると主張しているが、一方でセキュリティ企業を排除したり、そもそも研究者による精査が難しいソフトウェアを作ったりしている。
イランの関与を匂わせていたイスラエルを狙ったハッカー集団の正体は、中国の工作員によるものだと判明した。セキュリティ研究者は現時点では偽装工作は検出可能だという。
アップルは、ユーザーのアイフォーン内にある児童性的虐待画像を検出する新しいテクノロジーを発表した。今年中に米国で導入する。同社はプライバシーは保護されると主張しているが、賛否両論が渦巻いている。
コンピューター業界において、女性の功績はこれまで不当に低く評価されてきた。女性は、話を聞いてもらえることより沈黙させられることがほとんどで、それは現在でも変わっていない。
スパイウェアを独裁政権国家に販売し、政治家やジャーナリストのスマホをハッキングしたとの疑惑が報道されたイスラエルの「NSOグループ」に対して、捜査が入った。CEOは疑惑を完全否定しつつ、捜査に協力するという。
イスラエルのハッキング企業NSOが作ったスパイウェアツールによって、ジャーナリストや活動家が監視されていることが報道で明らかになった。ただ、これはMITテクノロジーレビューが以前から指摘してきたとおりだ。
ディスプレイに次々に表示される数字が素数であるかどうかを判定するオンライン・ゲームが(一部で)人気を博している。「非公式世界記録」は、ちょうど素数である127点だ。
米国とロシアの高官がランサムウェアの危機について協議する予定だった前日、ランサムウェア攻撃を仕掛けるロシアの最大級のグループが活動を停止した。
カーネギーメロン大学の研究チームは、自動推論の手法を用いて、未だかつて誰も成し得ていない「コラッツの予想」の証明に取り組んだ。証明は成功しなかったものの、自動推論手法の可能性を実証するという点では「尊い失敗」だった。
ムーアの法則の存続が危機に晒されている。ただしそれは、集積技術が限界に達したからではなく、柔軟性にかけるサプライチェーンによるものだ。半導体業界はいまだに大きな需要のある古い世代のチップを作りたがっていないのだ。
インターネットの通信内容を傍受する監視ツールを独裁政権に販売したとして、フランスでソフトウェア企業の幹部が起訴された。リビアとエジプトでの深刻な人権侵害につながったという。
中国が暗号通貨の採掘者に対する取り締まりを強化している影響を受け、ビットコインの価格はこの1週間で20%下落。他の暗号通貨を含めた市場全体の価値は過去2日間で12%低下した。
80年代初期にパソコン向け中国語フォントの開発に挑む人たちがいた。当時のパソコンは現在のものとは比べものにならないほど性能が低く、アルファベットと記号を表示するのがやっとだった。数え切れないほどの制約がある中で中国語フォントを作り上げるには、気が遠くなるほどの細かい作業が必要だった。
最近、大手企業や最重要社会基盤へのランサムウェア攻撃で米国はパニックに陥った。ランサムウェア自体はオバマ政権の頃から存在していたが、近年は犯人の要求額が高騰している。バイデン政権はこの問題に積極的に取り組む姿勢を見せているが、どこまで有効な対応策を打ち出せるのか。