VRに「触覚」を持ち込む人工皮膚、ノースウェスタン大など開発
シリコン製の柔らかなワイヤレスの「皮膚」を着用して、 実質現実(VR)内で物体に触れるようになるかもしれない。ネイチャー誌にこのほど掲載された論文で、米国ノースウェスタン大学と香港理工大学の研究者らは、着用者に皮膚越しに機械振動を伝えるアクチュエーターやチップ、センサーなどを組み込んだ多層素材について詳述している。
新たな「皮膚」は現在のところ、タッチスクリーン上のエリアをタップすることで信号が送られ、皮膚の対応箇所がリアルタイムに振動して触感が伝わるというものだ。人工皮膚はワイヤレスで、スマホのワイヤレス充電でも使われている電磁誘導充電技術のおかげで、電池を必要としない。研究チームは、VRでは音声や視界の再現が可能である一方、触感の再現については研究が進んでいなかったと述べる。
将来的に考えられるのは、こういった皮膚を使って遠隔地にいる人との身体的コミュニケーションを実現することだ。たとえば、親が海外からVRのテレビ電話をかけ、その中で子どもを「抱きしめる」ことが可能になるかもしれない。もっとすぐに実現しそうなのは、VRゲームのプレイヤーがプレイ中に受ける打撃を感じたり、あるいは義手を使う人が握っている物体の形をよりはっきりと把握できるようにすることだ。 VRが今ひとつ可能性を発揮しきれていないことで、テック業界はこれまで多くの苦痛を味わってきた。だが触覚が加われば、そんな現状の打開にもつながるかもしれない。
この種の素材の開発に取り組んでいる研究はほかにある。2019年10月には、スイス連邦工科大学の研究チームがソフト・ロボティクスの論文を発表した。VRユーザーにリアルタイムの触覚フィードバックを送り、VR内で物体を「触る」ことを可能にする、500ナノメートル厚の人工皮膚の開発について報告している。
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