KADOKAWA Technology Review
×
グーグルの
VR作品責任者が語る
映像体験の未来
カバーストーリー 無料会員限定
Imagining the Future of VR at Google

グーグルの
VR作品責任者が語る
映像体験の未来

VRと従来の映像作品は何が違うのか? グーグルでVR作品の責任者を務める人物にMIT Technology Reviewのジェイソン・ポンティン編集長がインタビューした。 by Jason Pontin2017.02.15

ジェシカ・ブリルハートはシリコンバレーで最もクリエイティブな仕事といってもよい、グーグルの実質現実(VR)部門で主任映像制作者を務めている。VR映画の撮影用に設計された「ジャンプ」システム(16台のカメラを内蔵する円形の装置) で制作された初の映画 「ワールド・ツアー」等のVR体験と、従来型の映画(ブリルハートは「平面映画」と呼ぶ)を制作、さらにスマホと組み合わせて使うグーグル製の安価なVRゴーグル「カードボード」等、新しいVRテクノロジーの評価も担当している。以下は、ブリルハート主任映像制作者とMIT Technology Reviewのジェイソン・ポンティン編集長とのインタビュー内容の抜粋である。

グーグルでVRの主任映像制作者として何をしているのですか?

グーグルが開発しているテクノロジー、特にVRについて見ています。VRをどれだけクリエイティブにできるのか、自身に問いかけるのです。私がエンジニアとクリエイターの間を取り持ち、その過程によって作品を作っています。

実質現実との最初の出会いはいつでしたか?

あるとき、360°カメラを開発していたエンジニアのチームを訪ねてデモを見たのです。今ではよく見かける類のミュージシャンが360度の視界にいる映像ですが、私は「これはちょっと面白いな」と思ったのです。しかし、チームが戸惑い気味に見せてくれたデモはひとつだけでした。チームが撮影した初めての映像だったのです。オフィスにいた全エンジニアにとって、その装置を動かすのはそのときが初めてでした。チームはみんな幸せそうでした! 素っ頓狂な表情がとても可愛らしかった。最初、エンジニアはきょろきょろ辺りを見回してばかりいました。「ちゃんと動いてる?」「わからないよ!」みたいな様子です。そして突然、チームは両手を上げて大喜びしたのです。装置がうまく動作して本当に喜んでいたので、こちらまで嬉しくなってしまいました。それを見て、映像制作には本当に苦労があったのだろう、とわかりました。おそらく絶対に不可能なほどの苦労があったのでしょう。

VRはストーリーを見せることに直接的に役立ちますか?

私は、その質問にはかなり否定的です。ストーリーテリングを強調するのは正しくないと考えているのです。ストーリーテリングはメディアとしての映像製品です。1929年制作の実験映画『これがロシヤだ (Man with a Movie Camera)』で、ジガ・ベルトフ監督はカメラを手に、ありふれた光景を撮影し、妻とともにシーンを編集してつなぎ合わせる手法を生み出しま …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Inside the tedious effort to tally AI’s energy appetite 動画生成は別次元、思ったより深刻だったAIの電力問題
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2025 「Innovators Under 35 Japan」2025年度候補者募集のお知らせ
  3. IBM aims to build the world’s first large-scale, error-corrected quantum computer by 2028 IBM、世界初の大規模誤り訂正量子コンピューター 28年実現へ
  4. What is vibe coding, exactly? バイブコーディングとは何か? AIに「委ねる」プログラミング新手法
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る