フラッシュ2023年6月22日
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量子制御に新手法、“ねじれ”効果で確率ほぼ100%=東大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京大学と物質・材料研究機構(NIMS)の共同研究チームは、量子トンネル効果を100%に近い確率で誘起する幾何学的効果の実証に成功した。量子トンネル効果は、粒子が障壁を通り抜けて移動する普遍的な量子現象であり、量子コンピューターの量子ビット(キュービット)、高感度磁気センサー、フラッシュメモリなど、様々な技術にこの現象が関わっている。今回の成果は、量子制御の新手法として様々な分野への応用が期待される。
1932年に発表された「ランダウ・ツェナー」モデルは、量子二準位系(二つの状態からなる量子系)における障壁の制御速度と量子トンネル確率を結びつけるもので、今日でも量子制御の基本モデルとして役立っている。研究チームは今回、同モデルに幾何学的な“ねじれ”効果を取り入れた新しい「ねじれランダウ・ツェナー」モデルを実証することに世界で初めて成功した。
同チームは、ダイヤモンド中の単一の窒素空孔中心の電子スピンを量子二準位系として利用。マイクロ波パルスを調整することによって駆動場における幾何学的効果を制御し、量子トンネル確率を精密に測定した。その結果、予言されていた駆動場の向きに依存する量子トンネル確率を実験によって検出することに成功した。
さらに、駆動場の速度やねじれによって量子トンネル確率を自在に制御できることも判明。さまざまな駆動場において完全トンネルを詳しく調べ、平均95.5%という高い確率で量子トンネル効果を実現した。通常、量子的な状態は確率的な振る舞いをするため、思い通りに制御することが難しいため、100%近い確率で状態を制御できるという事実は重要であるという。
研究論文は、フィジカルレビュー A(Physical Review A)に2023年5月26日付けで掲載された。
(中條)
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