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すべてのパラメーターが矛盾——「出来すぎ」全固体電池は本物か?
Donut Lab
This company claims a battery breakthrough. Now they need to prove it.

すべてのパラメーターが矛盾——「出来すぎ」全固体電池は本物か?

5分で充電、10万サイクルの寿命、リチウムイオンより低コスト。無名のフィンランド企業が発表した全固体電池の性能は、あまりにも出来すぎていた。第三者試験で高速充電は実証されたが、残りの主張を裏付ける証拠はまだない。 by Casey Crownhart2026.02.27

この記事の3つのポイント
  1. フィンランドのドーナツ・ラボが大規模生産可能な全固体電池技術を発表し、超高速充電と高エネルギー密度を実現すると主張
  2. 同社の性能主張は既存技術の物理的制約と矛盾するとして多くの専門家が懐疑的な見方を示し、技術詳細の開示不足を指摘
  3. 第三者試験で高速充電性能の一部が実証されたものの、他の性能指標との両立性や実用化への道筋は依然として不透明
summarized by Claude 3

企業がバッテリーの「聖杯」とも言えるものを開発したと主張すれば、当然ながら疑問が生じるものである。

フィンランドの企業ドーナツ・ラボ(Donut Lab)が先月、大規模生産に対応可能な新しい全固体電池技術を発表して以来、関心が高まっている。同社によれば、この電池は超高速で充電でき、高いエネルギー密度を備えているため、超長距離走行が可能な電気自動車(EV)の実現につながるという。さらに、極端な高温および低温環境でも安全に動作し、「環境に優しく豊富に存在する材料」を使用しており、現在のリチウムイオン電池よりも低コストになると主張している。

なんとも驚くべき話である。これはEV業界を変革し得る技術だ。しかし、多くの人がすぐに、あまりにも出来すぎた話ではないかと疑問を抱いた。現在、ドーナツ・ラボは、自社技術にいわば「秘訣」があることを証明するとして、一連の動画を公開している。なぜこの企業が注目を浴びているのか、なぜ多くの専門家が懐疑的なのか。そしてそれが現在のバッテリー業界にとって何を意味するのかを詳しく見ていこう。

全固体電池は、次世代EVを実現する可能性を秘めている。液体電解質(電池内部でイオンが移動する媒体)の代わりに固体材料を用いるため、よりコンパクトな設計が可能である。これは航続距離の大幅な延長を意味し、より多くの人々がEVに関心を持つ契機となり得る。

問題は、これらの電池を実用レベルで機能させ、EV業界が求める規模で量産することが容易ではない点にある。世界有数の自動車メーカーや電池メーカーの一部は、この技術を実用化するために何年も取り組んできた(トヨタはかつて、2020年までに全固体電池搭載車を投入するとしていたが、現在は2027年から2028年を目標としている)。

時間はかかっているものの、全固体電池はかつてないほど実現に近づいているようにも見える。これまでの進展の多くは、電解質としてゲル状材料などを用いる半固体電池に関するものであった。しかし、中国企業を含む一部の企業は、真の全固体電池の実現に近づきつつある。世界最大の電池メーカーであるCATL(寧徳時代新能源科技)は、2027年に少量生産を開始する計画である。中国の大手自動車メーカーである長安汽車は、今年から車両への全固体電池の搭載試験を開始し、来年の量産開始を見込んでいる。

それでも、ドーナツ・ラボは1月初旬にラスベガスで開催されたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)に先立って公開した動画で、世界初の全固体電池を量産車に搭載すると主張し、バッテリー業界を驚かせた。

発表の中でも特に注目を集めたのは、セルのエネルギー密度が1キログラム当たり400ワット時(400Wh/kg)に達するという主張である(現在商用化されている最高水準のリチウムイオン電池は約250~300Wh/kgである)。さらに、最短5分で充電可能で、10万サイクルの寿命を持ち、高温・低温環境下でも容量の99%を維持するとされた。また、リチウムイオン電池より低コストで、「世界的に入手可能な100%環境に優しく豊富な材料」から製造されるとも述べられた。

多くの専門家は直ちに懐疑的な見方を示した。「全固体分野では技術的障壁が非常に高いのです」。先月私が取材したシカゴ大学のシャーリー・メン教授(分子工学)はこう話す。同教授はCESに参加し、ドーナツ・ラボのブースも訪れたという。「彼らはデモをまったくしていなかったので、私は信じません。保守的だと言われるかもしれませんが、後悔するよりは慎重でありたいのです」。

「誰も知らず、聞いたこともないような存在です」。メリーランド大学教授で全固体電池企業、アイオン・ストレージ・システムズ(Ion Storage Systems)の共同創業者であるエリック・ワクスマンは1月のインタビューで述べた。「彼らは突然現れたのです」。

ドーナツ・ラボは、この技術の具体的な内容についてほとんど情報を明らかにしていない。特許出願によって技術を保護できるようになるまで、電池メーカー(あるいは一般にスタートアップ企業)が技術的詳細を公表しないのは珍しいことではない。しかし、同社の一連の主張は既知の化学系とは整合しないように見え、専門家たちは推測を重ね、多くの場合その主張に疑念を抱いている。

「すべてのパラメーターが矛盾しています」。中国の電池大手、蜂巣能源(SVOLTエナジー)の社長兼CEOである楊紅新は1月に報道機関に対してこう語った。例えば、高エネルギー密度はより多くのエネルギーを蓄えられる厚い電極を必要とする一方で、高速充電にはセル内でイオンが迅速に移動できることが求められるため、両者の間にはしばしばトレードオフが存在する。さらに、高性能電池は一般に高コストになると考えられるが、同社は自社技術がリチウムイオン電池よりも安価になると主張している。

先週公開された新たな動画で、ドーナツ・ラボのマルコ・レーティマキ共同創業者兼CEOは、「I Donut Believe」と題する動画シリーズを公開し、自社の主張を裏付ける証拠を示すと発表した。付随するWebサイトのヘッダーには「もっともです。どうぞ」と記されている。

このWebサイトが公開された際、2月23日(月)までのカウントダウンタイマーが設置され、同日、同社は初の第三者試験結果を公表した。それは高速充電試験であり、単一セルが0%から80%まで約4分半で充電可能であることが示された。これは驚異的に速く、非常に印象的な結果である(ただし、セルがかなり発熱した点は留意すべきであり、これらの電池を搭載する車両設計においては熱管理が重要となる可能性がある)。

最初の技術試験結果が示されたとはいえ、依然として多くの疑問が残る。この充電速度で何サイクル運用可能なのか。同じセルが同社の他の性能主張も満たせるのか(私は過去1カ月間、同社の報道関係者向けメールアドレスおよび経営陣のLinkedIn(リンクトイン)を通じて複数回連絡を試みたが、回答は得られていない)。

同社はその発表戦略によって大きな関心と注目を集めており、この演出はまだ続いている。ドーナツ・ラボのサイトには、3月2日(月)に終了する別のカウントダウンタイマーも設置されている。

私は新しい電池技術にいち早く胸を躍らせる人間の一人である。しかし、最近ネット上で頻繁に目にするある言葉が、この話を追い続ける中で頭から離れない。「並外れた主張には並外れた証拠が必要である」。

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MITテクノロジーレビューの気候変動担当記者として、再生可能エネルギー、輸送、テクノロジーによる気候変動対策について取材している。科学・環境ジャーナリストとして、ポピュラーサイエンスやアトラス・オブスキュラなどでも執筆。材料科学の研究者からジャーナリストに転身した。
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