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世界最長の海底道路トンネル
海面下300mの掘削現場に
本誌記者が潜入
COURTESY OF NORWEGIAN PUBLIC ROADS ADMINISTRATION
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Inside the world’s deepest and longest subsea road tunnel

世界最長の海底道路トンネル
海面下300mの掘削現場に
本誌記者が潜入

私たちは、まだこれほどのものを造れるのか——。建設中の海底道路トンネル「ログファスト」は、完成すれば世界最長・最深。全長26.7キロ、最深部は海面下390メートルに達する。岩盤を爆破しては数メートル前進するノルウェーの現場を、本誌記者が訪ねた。 by Niall Firth2026.06.29

この記事の3つのポイント
  1. 世界最長・最深となる海底道路トンネル「ログファスト」がノルウェーで建設中であり、全長26.7km・最深390mに及ぶ
  2. 削孔・発破工法と精密なグラウチングを組み合わせ、極限の水圧・複雑な地質・換気という多層的課題に対処している
  3. このプロジェクトはノルウェーの土木技術の集大成として国際的注目を集め、大規模インフラ建設の実現可能性を示している
summarized by Claude 3

寒くて、しかもものすごくうるさい。率直に言って、あまりリラックスできる状況ではない。

私は今、北海の海面下約300メートル(1,000フィート)にある、暗く湿った洞窟の中にいる。妙な臭いが漂っている。そして、頭上にある数百万トンもの海水が生み出す圧力を、ますます強く意識するようになっている。その圧力は1平方インチ(約6.45平方センチ)あたり500ポンド(約226キログラム重)を超える。切手1枚の上に子どものサイが立っているところを想像してほしい。

私が押しつぶされることも、溺れることも、跡形もなく消え去ることもなくここにいられるのは、驚異的な土木工学技術のおかげである。もっとも、安全ゴーグルは曇ってしまっている。

ほんの数百メートル先では、巨大な岩盤を爆破しようとしている。幸い、少し前に私は徹底した安全講習を受け、特別なヘルメットも着用している。「心配しないでください。もし戻ってこられなかったら、お荷物は会社に送り返しておきますから」。地質学者のアンネ=メレテ・ギルジェは、真顔でそう言った。ああ、いかにもノルウェーらしいユーモアである。

私は今、ノルウェーを象徴するフィヨルドの地下にいる。目的は、まもなく世界最長・最深の海底道路トンネルとなるログファスト(Rogaland Fixed Link)の建設現場を見学することだ。最深部は海面下390メートル、全長26.7キロメートルにも及ぶ4車線道路という大胆な構想が、どのように実現されるのかを知りたかった。そして、特に米国では大規模プロジェクトを実現することが難しく感じられる今なお、野心的な土木工学プロジェクトは実現可能なのだということを、自分自身に確かめたかったのである。私たちは、まだこれほどのものを造ることができるのだ、と。

ノルウェーはすでに、全長14.4キロメートルの世界最長の海底道路トンネル、リフィルケ・トンネルを有している。しかし、ログファストはそれをはるかに上回る規模となる。ノルウェーの海底トンネル建設技術には、日本、スペイン、モロッコ、さらには米国の複数の州からも関心が寄せられている。私が訪れた数週間後の5月には、それらの地域の代表団が現場を視察する予定だった。彼らもまた、ノルウェーがどのようにしてこの工事を成し遂げるのかを知りたがっている。

その答えは――大量の爆薬である。

このプロジェクト全体は、物理法則や地質条件に屈することを頑として拒む挑戦のように感じられる。「毎回わくわくします」。プロジェクトに参加するスイス企業インプレニア(Implenia)のトンネル現場監督、ニクラス・ブルセヘドはそう語る。「爆破のたびに、新しい世界が生まれるのです」。

壮大なのはトンネル本体の掘削だけではない。巨大な換気立坑、極限の水圧、地下の環状交差点、そして複雑なノルウェーの地質が絡み合う、途方もない物流上の課題が存在する。そしてもちろん、水である。とてつもない量の水だ。

「これは海の下で行われる連続発破としては史上最長です」。インプレニアのアシスタント・プロジェクトマネージャーであるジョン・オラフ・オスターフスはそう説明する。「前例はありません。やり方を本で調べることはできないのです」。

さて、安全服の中からスマートフォンを取り出しておこう。この瞬間だけは撮り逃したくない。

別の惑星

トンネルの掘削面に到着すると、まるで月面に降り立ったような気分になる。そこには、長く、暗く、湿った幅広い坑道の突き当たりに、巨大な岩盤が立ちはだかっている。照明はあるものの、その明かりはかろうじて足元を照らす程度だ。

大量の岩石を積んだ巨大な運搬車両が、地鳴りのような音を響かせながら定期的に通り過ぎる。そのたびに私たちは坑道の脇へ身を寄せ、通過を待つ。

作業員たちは自然光がまったく届かない地下深くで、午前6時から午後6時までの12時間勤務に従事する。勤務は12日間連続、その後16日間休暇というサイクルだ。昼食は、この湿った洞窟の中に置かれたテーブルで取る。周囲には、安全標識がびっしり貼られたプレハブ小屋が並ぶ。ブルセヘドは笑いながら言う。「これは一種のライフスタイルです。四六時中地下で働くには、少しくらいクレイジーでないと務まりません」。

このクレイジーな技術者たちがここにいるのは、「ノルウェー方式」でトンネルを掘るためである。ノルウェーでは、多くの国で主流となっているトンネル掘削機(TBM)ではなく、「削孔・発破工法(drill-and-blast)」が広く採用されている。この工法は、さまざまな種類の岩盤が連続する長大トンネルの施工において、より高い柔軟性を発揮する。爆破1回ごとに、トンネルは約5~6メートル前進する。

ログファストは工期短縮のため、両端から同時に掘削が進められている。北側では建設会社スカンスカ(Skanska)がヴェストレ・ボクン島から掘り進め、南側では私がいるランダベルグから、インプレニアとスタンゲランド(Stangeland)が共同で施工を進めている。両チームは毎日何度もレーザースキャンを実施し、掘削方向を繰り返し確認して、トンネルが設計どおりの位置を正確に進んでいることを検証している。2029年には、両側から掘り進めた坑道が、誤差わずか数センチ以内でつながる予定である。

ノルウェーは過去数十年間で、総延長1000キロメートルを超えるトンネルを建設してきた。その深さと長さを見れば、イーロン・マスク率いるボーリング・カンパニー(The Boring Company)がこれまで建設した最大のトンネル──ラスベガスにある全長2.7キロメートル、直径わずか3.6メートルのトンネル──が貧相に見えるほどだ。これほど大規模な建設が必要なのは、ノルウェー特有の地形によるものだ。ノルウェーはカナダに次いで世界で2番目に長い海岸線を持つ国であることを誇りとしている。しかし、西海岸を南北に移動するには島々を結ぶフェリーを何度も乗り継がなければならず、悪天候になると運航は大幅に遅れることも珍しくない。

2033年に完成すれば、ログファストは2つのフェリー航路を不要にするとともに、現在約5時間を要する南西部のスタヴァンゲルとベルゲン間の移動時間が約40分短縮される見込みだ。トンネルはボクナフィヨルドとクヴィツォイフィヨルドの深い海底下を4車線道路で結ぶ。ある区間では、トンネルと北海の海底との間を隔てる岩盤はわずか約50メートルしかない。また、海面下220メートルには2か所の海底環状交差点も設けられる予定である。

しかし、その前に立ちはだかる最大の課題は、水との闘いである。

終わりなき闘い

海底トンネルの建設とは、絶え間なく続く、そして究極的には決して勝ち切ることのできない海との闘いである。頭上にある海の莫大な重量と圧倒的な水圧によって、水は必ずどこかに侵入経路を見つけ出す。「最大のリスクは、水の量と圧力です」。そう語るのは、インプレニア/スタンゲランド共同事業体のプロジェクトリーダー、オーレ・マグネ・ロンニングである。

そのため、爆破の前には必ず漏水調査を実施する。技術者たちは掘削面に向かって深さ25~30メートルの細い探査孔を何本も削孔し、どれほどの水が湧き出すか …

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