KADOKAWA Technology Review
×
Innovators Under 35 Japan 2026 候補者募集開始!
AIチップの熱問題、解決策は「ガラス」 年内に商業生産へ
Courtesy of Absolics Inc
コンピューティング Insider Online限定
Future AI chips could be built on glass

AIチップの熱問題、解決策は「ガラス」 年内に商業生産へ

AIチップの基板にガラスを使う動きが加速している。有機基板より熱を放散しやすく、接続密度を最大10倍に高められるため、省エネ化の切り札として注目される。韓国企業アブソリクスは2026年内に商業生産を開始する予定で、インテルやサムスンも追随する。 by Jeremy Hsu2026.03.23

この記事の3つのポイント
  1. 韓国企業アブソリクスが2026年にAIチップ用特殊ガラス基板の商業生産を開始予定で、インテルなど大手も参入している
  2. ガラス基板は従来の有機基板より熱安定性が高く、10倍密な接続で50%多くのチップ搭載と省エネ化を実現できる
  3. 脆弱性という課題があるものの、半導体向けガラス市場は2025年の10億ドルから2036年には44億ドルへ拡大見込み
summarized by Claude 3

人工ガラスは数千年の歴史を持つ。そして今や、世界最新かつ最大のデータセンターで使用される人工知能(AI)チップに組み込まれようとしている。2026年、アブソリクス(Absolics)という韓国企業が、次世代コンピューティング・ハードウェアをより強力で省エネルギーにするために設計された特殊ガラスパネルの商業生産を開始する予定だ。インテルをはじめとする他の企業もこの分野で前進している。すべてが順調に進めば、このようなガラス技術はAIデータセンターで使用される高性能コンピューティング・チップのエネルギー需要を削減し、生産コストが下がれば最終的には消費者向けノートパソコンやモバイルデバイスでも同様の効果をもたらすかもしれない。

このアイデアは、複数のシリコンチップを接続する基板、つまり層としてガラスを使用することだ。この形の「パッケージング」は、特定の機能用に設計された専用チップを単一システムに組み合わせることができるため、コンピューティング・ハードウェアを構築する方法として人気が高まっている。しかし、これには課題もある。その1つは、高速で処理を実行するチップが非常に高温になり、基板を物理的に歪ませる可能性があることである。これによりコンポーネントの位置がずれ、チップの冷却効率が低下し、損傷や早期故障につながる可能性がある。

「AIワークロードが急増し、パッケージサイズが拡大する中、業界は高性能コンピューティングのロードマップに影響を与える非常に現実的な機械的制約に直面しています」。チップ設計会社アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(Advanced Micro Devices:AMD)のシニアフェローであるディーパック・クルカルニは述べる。「最も根本的な問題の一つが反りです」。

ここでガラスの出番となる。ガラスは既存の基板よりも追加の熱をうまく処理できるので、エンジニアはチップ・パッケージを縮小し続けて、より高速で省エネルギーにすることができる。「機械的な壁にぶつかることなく、パッケージ・フットプリントのスケーリングを続けられるようになります」とクルカルニは述べる。

この変化に向けた機運が高まっている。アブソリクスは先進チップ用ガラス基板の製造専用の工場を米国で建設し終え、2026年に商業製造を開始する予定だ。米国の半導体メーカーのインテルは次世代チップ・パッケージにガラスを組み込むことに向けて取り組んでおり、チップ・パッケージング・サプライチェーンの他の企業にも投資を促している。早期採用者の中には、韓国と中国の企業もいる。「歴史的に見て、半導体パッケージングでガラスを採用する試みはこれが初めてではありません」と、市場調査会社ヨール・グループ(Yole Group)のシニア技術・市場アナリストであるビラル・ハシェミは述べる。「しかし今回は、エコシステムがより堅固で広範囲にわたっており、ガラスベース技術の必要性がより鮮明になっています」。

壊れやすいが強力

「チップ・パッケージングは1990年代からガラス繊維強化エポキシなどの有機基板に依存してきました」と、インテルの先進パッケージン …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. It’s time to address the looming crisis in entry-level work. 「コーディングを学べ」もう通用せず、AIが若者の雇用を奪い始めた
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2026 「Innovators Under 35 Japan」2026年度候補者募集のお知らせ
  3. Anthropic’s Code with Claude showed off coding’s future—whether you like it or not 「Claudeに任せてしまおう」 たった1年で激変したソフトウェア開発
▼Promotion
社会実装都市「ひろしま」の魅力に迫る ローカル ✕ イノベーション
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る