KADOKAWA Technology Review
×
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
How Do You Fight the Largest Cocaine Boom in History? With Drones.

米国で急増するコカイン密輸、ドローン監視作戦で対抗

南米から流入するコカインが過去最高量を記録するなか、米国では沿岸警備隊はドローンによる監視を始めた。 by Michael Reilly2017.08.01

コロンビアでは、コカの収穫量が史上最高に達しており、これまでにないほど大量のコカインが海外へ出荷されている。

コカイン生産の急増(2016年の推定生産量は710トン)を考えれば、米国へ向かう公海上で記録的な量のコカインが押収されていることも、驚きには値しない。米国沿岸警備隊は2016年、過去最大となる221トンのコカインを押収した。

しかし沿岸警備隊は、密輸船を1隻を追跡している間に、4隻を取り逃していると考えている。沿岸警備隊は、東太平洋、カリブ海、メキシコ湾と合わせて966キロ平方メートルの海洋をパトロールしなければならないが、大型の巡視船は5隻しかない。そこで、より広い範囲に監視の目を行き届かせるため、沿岸警備隊はテクノロジーに目を付けた。

沿岸警備隊の巡視船ストラットン(Stratton)が南米の太平洋沿岸を巡視する2週間、AP通信の記者が同行し、ドラッグ密輸阻止ドローン「スキャンイーグル(ScanEagle)」の初配備に立ち会った。

スキャンイーグルはすぐに威力を発揮した。作戦2日目、密輸の疑いのある船舶を発見した。ストラットンから出発した小型ボートが船舶を停止させ、武力を行使をせずに700キログラムを超えるコカインを押収した。末端価格が100万ドル以上になる量だ。

巡視船をドローンの空母にすることで、海上での監視効率を大幅に引き上げられるかもしれない。3月に発表された米国国務省の報告書では、米国に密輸されるコカインのうち97%が、南米からの「非商船」によると推測している。そのため、監視効率をまだまだ高める必要がある。「非商船」には、漁船から手作りの潜水艦まで、あらゆるものが含まれる。

一方で、コロンビアのコカの収穫量は、史上最高に達している。コロンビア政府はコカ畑の撲滅を目的に除草剤を空中散布していたが、2015年に中止した。世界保健機関(WHO)の外部機関、国際がん研究機関(IARC)が、散布していた除草剤のラウンドアップに含まれるグリホサートが発がん性のリスクが高い成分だと認定したからだ。また、コカ畑を放棄する農家に対して政府が潤沢な見返りを与えたことで、農家は逆にコカの栽培を競って進めた。結果として、コカ畑の面積は、2016年には約1882平方キロメートルに達したと推定されている。

テクノロジーを使った解決策でこんなにも大量のコカインの流入を防ぐのは無理があるように思える。ワシントンポスト紙が指摘しているように、押収量が過去最大を記録しているにも関わらず、コカインの末端価格は暴落している。つまり、密輸量も依然として多いということだ。

とはいえ、これから状況がどう変わっていくかは、誰にも分からない。沿岸警備隊の薬物撲滅ドローン計画は、まだ始まったばかりだ。

(関連記事:Associated Press, The Washington Post, “コロンビア革命軍:コカインよりスマホメーカーに金を売った方が儲かる,” “For Cocaine Addicts, Treatment with Magnets May Stop Craving”)

人気の記事ランキング
  1. Will fusion power get cheap? Don’t count on it. 核融合は本当に安くなるのか? 楽観論に「待った」をかける新研究
  2. Digging for clues about the North Pole’s past 12万年前は無氷だった?海底22メートルの泥で掘り起こす北極点の謎
タグ
クレジット Photograph by Joe Raedle | Getty
マイケル レイリー [Michael Reilly]米国版 ニュース・解説担当級上級編集者
マイケル・レイリーはニュースと解説担当の上級編集者です。ニュースに何かがあれば、おそらくそのニュースについて何か言いたいことがあります。また、MIT Technology Review(米国版)のメイン・ニュースレターであるザ・ダウンロードを作りました(ぜひ購読してください)。 MIT Technology Reviewに参加する以前は、ニューサイエンティスト誌のボストン支局長でした。科学やテクノロジーのあらゆる話題について書いてきましたので、得意分野を聞かれると困ります(元地質学者なので、火山の話は大好きです)。
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
AI革命の真実 誇大宣伝の先にあるもの

AIは人間の知能を再現する。AIは病気を根絶する。AIは人類史上、最大にして最も重要な発明だ——。こうした言葉を、あなたも何度となく耳にしてきたはずだ。しかし、その多くは、おそらく真実ではない。現在地を見極め、AIが本当に可能にするものは何かを問い、次に進むべき道を探る。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る