KADOKAWA Technology Review
×
日本発・世界を変える「U35 イノベーター」募集中!
地球温暖化の対策コストはいかにして見積もるべきか
ニュース Insider Online限定
Sucking Up CO2 Will Cost Hundreds of Trillions

地球温暖化の対策コストはいかにして見積もるべきか

「気候研究の父」と呼ばれる著名な研究者らが、二酸化炭素排出量の削減を今すぐ始めなければ若者に膨大な負担を残すことになると発表した。だが、算出根拠には賛否両論がある。 by James Temple2017.09.07

子どもたちのためにいますぐ貯金を始めよう。

2017年7月18日に発表された論文によると、二酸化炭素の排出量をただちに削減しなければ、現在の若者は2100年までの間に535兆ドルもの費用を負担しなければならないという。世界経済全体の7倍近い金額だ。

一方、二酸化炭素排出量の年率8%の削減を2021年までに開始できれば、気候変動による危機を避けるために必要な二酸化炭素を取り除く費用は8兆ドルから18.5兆ドルとなる。もっとも低く見積もったケースでは、年間1000億ドルで済むという。

効果がはっきりとしない技術で二酸化炭素を回収するよりも、クリーンエネルギーに切り替えて温室効果ガス排出量を削減する方が、最終的にははるかに低コストで低リスクなことは明らかだ。今回発表された、著名な気候研究者であるコロンビア大学地球研究所のジェームズ・ハンセン教授らの研究は、21名の若者らが気候変動への対策が十分ではないとして連邦政府を訴えた注目の裁判で、科学的な裏付けのある信頼性の高い数字を使って連邦政府を追求する手助けとなるはずだ。オレゴン州の連邦判事は今年初め、本件の審理を早めるように裁決している。

訴訟の原告にも加わっているハンセン教授は、米国航空宇宙局(NASA)に科学者として勤めていたときの初期のモデリング研究と、議会での歴史的な証言によって、人々の目を地球温暖化の問題に初めて向けさせたことで知られる。そのため、一部の人々からは気候研究の父と呼ばれている。

ハンセン教授の今回の研究は、科学的な基礎からは逸脱しないものの、実証実験を積み重ねて起こり得る結果を予測するというよりは、極端な前提に立って想像した思考実験に近い。実際のコストを過剰に見積もっている可能性はいくつか指摘できる。

注目すべき点 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. The UK’s generational tobacco ban might not work. I’m supporting it anyway. 2009年以降生まれには一生売らない——英「たばこ根絶」への賭け
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2026 「Innovators Under 35 Japan」2026年度候補者募集のお知らせ
  3. Four nuclear reactors hit a big milestone in the US 米原子炉スタートアップ4社が臨界達成、原発新時代の幕開けか?
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る