KADOKAWA Technology Review
×
「シリコンバレーの外」こそ、AI活用を——ファストAI共同創業者
Jeremy Portje
The startup diversifying the AI workforce beyond just “techies”

「シリコンバレーの外」こそ、AI活用を——ファストAI共同創業者

ファストAI(Fast.ai)の共同創業者レイチェル・トーマスは、AIの世界により多くの視点をもたらす必要性を訴えている。 by Jackie Snow2018.03.28

レイチェル・トーマスは、誰もが人工知能(AI)人材として加わることを求めて、実際に実現しようとしている。

3月27日にサンフランシスコで開催されたMITテクノロジーレビューの年次カンファレンス「EmTechデジタル」で、ファストAI(Fast.ai)のレイチェル・トーマス共同創業者は、AIは考えられているほど近付きがたいものではないと主張した。ファストAIは、深層学習に関する無料講座を提供している企業だ。

ステージに上がったトーマスは、博士号や大規模なデータ・セット、高価なコンピューティング能力へのアクセスといった、AIの世界で働くために必要とされる要件はステレオタイプであるとの見方を示した。こうした要件に反する事例の1つとして紹介したのが、トーマスの生徒の一人が作成したニューラル・ネットワークだ。このニューラル・ネットワークは、30個のデータポイントさえあれば十分な訓練ができるという。トーマスはまた、1時間あたりのわずか45セントで利用できるクラウドベースの画像処理装置(GPU)の有用性についても言及した。

「人工知能(AI)を使うことへの障壁は、みなさんが思っているよりも低いかもしれません」とトーマスは呼びかける。

シリコンバレーの範囲外の問題に取り組むAIを作成するには、多様な観点が不可欠だ。 トーマスは、ヤギの乳房の健康状態をよりよくモニターするアルゴリズムを開発するためにファストAIの講座に申し込んだ、ある農業従事者の実例を詳しく話した。

「他の誰も知らない問題について知っているのは、あなたなのです」。

トーマスは、AIの世界がより多くの多様性を持つことは、現在、AI産業を悩ませているバイアスや公平性の問題についても役立つと考えている。 チームの多様化が進めば、 黒人を「ゴリラ」 に分類するグーグルの写真アプリや、 プロパブリカによって発見された保釈決定で使われているアルゴリズムに含まれる暗黙の人種差別などの問題を防げると考えている。

「AIの領域は少し近づきにくいものだと思われていますが、みなさん全員がAIの世界に参加してくれることを本当に必要としているのです」。

人気の記事ランキング
  1. How do our bodies remember? 解説:運動をやめても筋肉は覚えている——復帰が速い科学的理由とは
jackie.snow [Jackie Snow]米国版
現在編集中です。
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
気候テック企業10 2025

MITテクノロジーレビューは毎年、気候テック分野で注目すべき企業を選出し、その一覧を発表している。 新たなクリーン・エネルギー源の創出や、食品生産・物流の再構築といった形で経済の主要セクターの脱炭素化に取り組む注目企業10社を紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る