フラッシュ2024年1月30日
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生物工学/医療
新型コロナ、重症化を早期予測するバイオマーカー=京大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]京都大学、慶應義塾大学、大阪大学、福島大学、大阪公立大学の研究グループは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスクを感染初期の段階で予測可能にするバイオマーカーを発見した。新型コロナの感染者には、症状がほとんどない人もいれば、命を脅かすほど重症化する人もおり、これまで感染初期に重症化リスクを予測することは難しかった。
研究グループは、血液検査で見つけることができる血中(血清)の代謝産物に焦点を当て、症状が現れてから5日以内の患者83人の血液を分析した。この分析から、de-novoヌクレオチド合成経路に関わる特定のアミノ酸異化物が増加していることが確認され、この増加が後の重症化のリスクと相関していることが見出された。
さらに、研究グループはCOVID-19に感染したマウスとインフルエンザウイルスに感染したマウスの比較研究を実施し、特にCOVID-19に感染したマウスの肺組織を調査した。その結果、重症化するマウスの肺では、感染初期に肺の気道と組織細胞が異常に増殖していることが判明し、これが肺組織の再構成を引き起こし、全身の代謝に影響を及ぼしていることが示された。
この研究により、感染初期の特定のアミノ酸異化物の増加が、後に重症化するリスクを予測する有力な指標であることが示された。このバイオマーカーを用いることで、将来的には感染初期に重症化する可能性が高い患者を早期に識別し、迅速な治療介入が可能となることが期待される。
研究成果は2023年12月20日、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)にオンライン掲載された。
(笹田)
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