量子コンピューターでの優位性堅持へ、米議会で立法の動き
初期段階にある量子コンピューティング分野を主導するため、米国の取り組みを強化する2つの法案が米国連邦議会で作られている。
ギズモード(Gizmode)によると、カリフォルニア州選出の民主党上院議員であるカーマラ・ハリスが、量子コンピューティングの研究を促進するコンソーシアムの設置を米海軍と陸軍の研究責任者に求める法案を提出した。コンソーシアムは政府から2024年まで資金援助を受けることになっているが、具体的な金額については明らかになっていない。
一方、一部の下院議員たちは、「国家量子技術イニシアチブ (National Quantum Initiative)」を立ち上げる別の法案の起草に取り組んでいる。同イニシアチブは、量子コンピューティングに関する連邦プロジェクト間の協調を強化するとともに、企業およびスタートアップ企業の投資を促進。米国労働者の量子コンピューティング技能向上を支援する。
量子物理学を利用する量子コンピューティングは、既存のコンピューティングに革命をもたらす可能性がある(「量子コンピューターはなぜ必要なのか?」を参照)。これまでは米国企業が量子分野のイノベーションを先導してきたが、中国は100億ドルをかけて国営の量子情報科学研究所を建設中で、2020年には開設予定だ。中国企業の量子コンピューティング分野に対する投資も増えてきている。一方で、米政府の同分野への投資額は数億ドルと報告されている。
法案支持者らは、米国が量子コンピューティングへの支援を強化しないと、中国に対する優位性を失いかねないと懸念している。ちょうど現在、米国が人工知能(AI)大国の地位を中国からの挑戦で脅かされつつあるのと同じように。